□あれから…
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目が痛い…



母上…












俺は…人です…




人間です…











貴女の…息子です…

















「あ…」


な…なんだこいつ…



俺の屋敷に入っていいのは限られた者だけだ。



「眼帯?」


「くっ…」





眼帯…

それは今の俺にとって最も指摘してほしくないところだった。




まだ片目を失って半年ほどしか経ってないからな。






で…


アンタは誰だよ。


「ここに入るのには許可がいる。勝手に入る奴はどんなにlittleでも殺されるぞ?」


なんて…


本当のことを言うが全く耳に入っていないようだ。

目をキラキラと輝かせて言った。










「かっこいー!!」

顔を急接近し、まじまじと俺を見た。





な…





なんて失礼な奴なんだ!!




きゃーきゃーと俺の周りをじたばたと動き回る。





ふざけやがって…








「いい加減にしろ。殺されたくなきゃ早くここから出てけっ!!」



早く消えろ…


もう俺を刺激するな…








「嫌だ!!」


こいつ〜〜〜…























「お友達になりたい!!」










は…?


俺は言葉を失った。



だって…


俺は…








「某の名は弁丸!!」



こいつはおかしい。



「お前…視力は正常か?」

「もちろんでござる!!」



だって…











「俺は片目だぞ?化け物だ。」



今でも鏡を見たくない。


こんな顔…




こんな自分。












「そなたはかっこいいでござるよ?」



俺が…?




この弁丸って野郎…










「はっ…」


なんだか可笑しすぎるぜ…




「何か某…変なことを言ったか!?」


自然と笑っている自分がいた。







受け入れてくれる者が少ないわけではない。



しかし全く受け入れてくれない者もいる…



「俺は梵天丸だ。」



自分から名乗っていた。




俺も相当軽い人間なんだなって思う。










「名の〔丸〕が同じでござるな!」




すぐにこいつの付き人が来て真田家の次男だということが分かった。


無神経な奴だな…




何がまだ可笑しいのか、俺は今だにくすくすと小さく笑っていた。



まだ俺は笑えるんだ…




まだ…



人を信頼してもいい?





俺は












もう一度あの平穏な日々に戻ることを期待してもいい?




この時俺は8歳、弁丸は6歳だった。
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