‡ThE sEcReT rOoM‡
□naughty contrariness -sideH-
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今日は初めてのお泊まり。
俺と、もっちゃんこと井上優は付き合い始めて7ヶ月…これは誰も知らない2人だけの秘密。
キスはおろか手を繋ぐのでやっとな俺たちが、その先に進めるわけもなく。
泊まりとは言っても修学旅行みたいなノリなんだろうな、と安心しながらも少し残念に思ったりしてる。
自分から求めるのだけは死んでも勘弁して貰いたいが、もっちゃんとその先へ進むのは嫌じゃない。
「もっちゃ…んっ、ぅ…」
突然、目の前にもっちゃんのまだ幼さの残る顔がアップになって、唇が塞がれた。
キスされているとわかっても、目を瞑ってしまった俺には、もっちゃんが笑っているのか照れているのか、はたまた泣いているのかもわからない。
ただ、触れ合う唇が…気持ち良い───…
その後は流れで押し倒され、俺の身体の外を内を優の手や唇が滑っていく。
その感覚がもどかしくて意味もなくかぶりを振った。
微かに涙の滲んだ瞳で見上げると優しく微笑んで目元に口付けを落とされた。
「ん、ぁ…っ、やだ…もっちゃん…っ」
「優って呼んで、市瀬さん?」
「…る、すぐる…っ」
仕事で会う時に比べて幾分低くて甘く、甘えた感じの声が耳
に落とされて脳内を犯す。
俺は、優の首に腕を回して、熱に浮かされた様に何度も優、優、と呼び続けた───
いつの間に意識を手放していたのか、ふと目を開けると隣に優が眠っていた。
子供みたいにすやすやと眠っている顔を見ると、鼻をビシッと弾いてやりたくなった。
「…っ!?ぇ…?…市瀬さん、何するんですかー…」
驚いてぱちぱちと何度か瞬きをした後、俺を見た優に、ニッと笑ってみせた。
笑ってやったのに、すぐ夢の中へ戻ってしまいそうになる優の耳元で叫んでやった。
「もっちゃーーん!!起きろ、俺より先に寝るなんてナシだぞ!」
「い、市瀬さんっ、鼓膜破れるって…!」
「バーカ、鼓膜なんて破れちまえ」
「ヒドいなー。鼓膜破れたら市瀬さんの可愛い声もエッチな声も聞けなくなっちゃうじゃないですか。」
俺が意地悪で言っても、コイツはどこまでも優しい。
…余計な事も言うけどな。
「エッチな声は余計だ、バカ!」
「あ、市瀬さん。俺の事、優って呼んでって言ったじゃないですか。」
「も、もっちゃんで良いだろ…別に!」
「さっきはあんなに呼んで、アンアン言ってくれてたのに…」
「アンアンは言ってねーー!!」
「もう俺、拗ねてふて寝しますよ?」
拗ねた様に頬を膨らませて言う優は、子供みたいに可愛くて、ずっと一緒にいられたら良いのに…なんて柄にもなく思ってしまった。
「じゃぁ、お前だって俺の事名前で呼べよ?」
「ダメですよ。俺の方が年下だもん。名前で呼んで貰えるのは年下の特権ですから。」
暫くは、この子供の顔した天の邪鬼に、振り回されてやろうと、そう思った。
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