SEED SHORT

□過去拍手2本
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[ツンデレラ]

『素直じゃない子ね』
『冷めていて、ちっとも可愛くないわ』

勿論そんなことを言われれば、ひねくれている私はますます擦れていく。子どもが成長する過程に於いて、環境が左右するものは大きい。つまり、どの子にも抱え持つ性格を形成するにあたった理由が存在すると思うのだ。
こういう思考がますますオトナたちから気味悪がられる要因だということは知っているが、仕方がないではないか。子どもはオトナたちが思っているよりも敏感で、自分に向けられる感情なんてものは簡単に察してしまえる。どうして己を愛してもくれないヒトに笑顔を向けねばならない?私が可愛くない小学生に成長したことは、説明の余地さえないごくごく当たり前の現象なのであった。

「というわけで、私に可愛らしさを求められても困ります」

小学校のお遊戯とは言え、劇のヒロインは愛されることが当たり前な可愛らしい子がやるべきだと思う。至極尤もな私の意見に、しかし担任のヤマト先生は拳をグッと作って否定した。

「知らないのかい?時代は今、ツンデレなんだよ!」

聞き覚えのない言葉に訝しげに眉を寄せると、ヤマト先生が「つまりね、」と教員らしく解説を始めた。

「心の奥底では、誰でも素直に物事を感じている。けれどもそれを誰もが外に出せる訳じゃない。深遠を汲み取れないのは、周りの責任であって本人の問題ではないってことさ!」

初めて言われた見解に、目をぱちくりとさせる。

「僕の目の前にはいつもとても可愛らしい女の子が見えているけれど、それに気付かないきみの周りのオトナたちは凄く損してるね!」
「…先生、絶対ヘン」
「はは、照れ隠しも可愛いよ」

悔しいが、憎まれ口に対して満足げに頭を撫でてくる先生に、頬が熱くなるのを感じる。何ソレ、反則じゃない。そんなこと言われたら、先生のこと、嫌いになれない。

「大丈夫だよ、ちゃーんときみを愛している人間が、ここにいるんだから」

朗らかに笑う先生に、私はもう取り繕うことを止めて自然な笑顔を向けた。今は気になる大切な生徒扱いかもしれないけど、私を本気にさせた罪は大きいわ。



(ツンデレラは魔法使いに恋をする)



年の差すきです!(私が)
キラが先生とか、キラに育てられるとか。後者の方は昔書いていましたが。笑
もうひとつの方は、ほぼ全部ひらがな文で読みにくいのでご注意くださいませ。内容もギリギリ滑り込んだ夏っぽいものになってます←



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