本編沿い


□Story12
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最後の最後

あなたを、守るよ。






Story12、守護すると決めたなら





「艦隊と合流したってのに、なんでこんなに急がなきゃなんないんです?」

整備に駆り出されて、ゼロの修理真っ只中のキラは、先ほど邪魔された恨みもあってか、ゼロのハッチから首を突きだし、口を尖らす。

「さっきも言っただろ。不安なんだよ、壊れたままじゃ!」

おちゃらけた調子をすっかりなくした状態で憮然として答えるムウに、首を傾げるキラ。そんな二人に、由希は笑う。

「第八艦隊って言っても…パイロットはそう強くないんでしょう?何かあったら、フラガ大尉が出なきゃ、ですよね?」

会話を聞いていたマードックは、嬢ちゃんは流石だなァと笑い、整備に戻っていった。

「……そういえばストライクは?本当にあのままでいいんですか?」

OSをカスタマイズしたまま戻していないストライクを思い出して尋ねるキラに、ムウはうなる。

「わかっちゃいるんだけどさ……わざわざ元に戻してスペック下げるってのも、なんかこう……堕天使ちゃん乗れないのかよ!」
「え、私ですか?乗れなくはないと思いますけど、私にはリオンのが扱いやすいですよー」
「リオンも結構な代物だけどな…」

整備の手を止めないまま軽く言ってのける由希に苦笑するムウの上から、涼やかな声が聞こえた。

「できれば、あのまま誰か使えないか、なんて思っちゃいますよね」

一同は驚いて空中を見上げた。マリューは視線を物ともせずキャットウォークから飛び降りる。

「艦長?」
「あらら、こんなむさ苦しいとこへ」
「汚れちゃいますよ?」

笑う由希とムウに軽く頷いてみせると、マリューはキラの顔を見た。

「ちょっと話せる?」
「え?」

思わず後込みするキラの様子に、マリューは苦笑する。

「そんな疑わないで。……まあ、無理もないとは思うけど。私自身とても余裕がなくて、これまであなたとゆっくり話す機会も作れなかったわね…」
「……はあ」

それでも警戒を残しているキラと微笑むマリューを、由希は暖かく見ていた。

「その……一度、ちゃんとお礼を言いたかったのよ」
「え……?」
「あなたには本当に大変な思いをさせたわ……ここまでありがとう」

マリューは深く頭を下げ、そんな彼女にキラは動揺する。

「いやっ、そんな、艦長っ……」

赤くなってしどろもどろになるキラに、顔を上げたマリューは笑いかける。

「口には出さなくても、みんな、あなたには感謝しているのよ。──こんな状況だから、地球に降りても大変かと思うけど……」

彼女は片手を差し出す。キラは戸惑いながらも、その手を握る。

「……がんばって」

そんな艦長に、由希は好感度をあげ、思わず微笑んでしまう。視線の中で笑うマリューは、次に此方に顔を向ける。

「そう、ハルバートン提督が此方にいらっしゃいます。あなた達にも来てもらうわね」
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