本編沿い
□Story11
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話はきっと
届いたはずだよね
Story11、再び取った剣で何を傷付けても
ブリッジを出て、由希は真っ先に格納庫へと向かう。
マードックは驚いたようにしていたが、由希はそちらには目を向けず、リオンへと真っ直ぐに視線を投げかけた。
「……また、よろしくね」
悲しげな声にあわせて、由希はリオンの整備を始めた。
整備が丁度終わる頃、示し合わせたように敵艦の存在が告げられる。
格納庫に入ってきたキラは、パイロットスーツに身を包んだ由希に目を見張る。
「由希さん!?」
「あ、キラくん」
何故だかこんな呼び方が定着してしまったことが少し可笑しくなり、由希は笑った。
「今回は参戦します。──残念だったね、もう少しで合流だったのに」
「いえ、それは……ってなんであなたがここに!」
由希は不適に笑う。
「あら、元ザフトレッドをなめないでよね」
その笑顔にはもう刺々しいものなんてなくて。思わずキラは見惚れてしまう。
発進前に由希はもう一度声を掛ける。
「キラくんのことは私が守るよ。それと──私のことは、由希って呼んでね!」
明るげな声に押されて、ストライクとリオンは宙へと発った。
アークエンジェルから発進した速く白い機体に、デュエルもバスターもブリッツも動きを止める。
〈由希……〉
不意に皆から漏れた声は、安堵と絶望が含まれていた。