本編沿い
□Story6
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頭を鈍器で殴られたような衝撃に、全身が拒否反応を示す。
気持ちの悪さが止まらない濁流の世界に放り込まれ、雑音のノイズが正規の音を浸食していくのがわかる。
現実に立っていられない
この人が、キラ
キラ・ヤマト
同姓同名?
頭が紡ぎだす現実逃避に、しかし理性はどこまでも冷静だった。
年齢、髪の色、目の色…
否定する考えはすぐさま打ち消され、最後のピースが自分を嘲笑うかのようにガチリと填った。
このひとが
キラ・ヤマト
「…………そう…なん…だ、」
自分でも音になったのか分からないくらいの、絞り出すような、掠れた声でそう言って視線をずらすと、異変に気付いたのかキラもミリアリアも心配そうにこちらを向く。
見ないで、見ないで
その目に、私を映さないで
「由希、大丈夫?なんか顔色悪いかも…出て行こっか?」
ミリアリアからの、それは唯一の救いの船だった。
「うん、ごめん…ありがとう、ミリィ…」
視線を上げないまま、なんとか言葉を紡ぐ。
訝しげになんか見ないで
おかしくなんかない
私はおかしくなんかない
私がこうなったのは全て、キラ・ヤマトのせいなんだから
いつか、いつかこの手で必ず殺す
そうしたら私も死ねる──…やっと、死ねる
それが私の宿命
それが私の渇望
だから、
殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す
原形まで留まらないように
もう誰も夢を見ないように
二度とわたしのようなにんげんをつくらないように
でも
彼は、アスランの幼なじみ
戦闘に巻き込まれてしまった、民間の学生
なんで?
なんで、
なんで。
彼がやってきたこの空間に、これ以上いたくなかった