本編沿い
□Story2
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帰還した私を迎えたのは真剣な顔をした隊長だった。
Story2、思い出す記憶はやさしくとも
「隊長…?」
「…何だ、由希」
格納庫にいること自体が珍しいというのに、更にらしくもなくどこか物思いに耽っている様子の隊長ラウ・ル・クルーゼを不審に思いながらも、由希は脇から声をかけた。傍目から見て心此処にあらずな状態だった割には、間を開けずしてあっさりした答えが返ってきたことに逆に戸惑う。
「あ、いえ……出撃なさるのですか?」
普段隊長であるラウが格納庫に来ることはないのでそう取った由希を見て、ラウは薄く笑う。
「君も来てくれるか?」
「…?機体が、ありませんが」
「奪取したリオンがあるだろう」
「…では、お供させていただきます」
「待て!」
普通奪取した機体をすぐさま実戦投入なんてしないものだが、ラウに言われては断れないと敬礼をした由希を見て、声を掛けたのはミゲルだった。
「ミゲル?」
「隊長、私に行かせてください!」
訝しげに眺める由希を無視して、ミゲルはラウに懇願した。
「…どうしても、かね?」
「はい!」
仮面の下なので表情は見えないものの、笑っているのは容易に分かった。
すっかり置いていかれている状況に困惑しながらも留まる由希を前にして、ラウが口を開く。
「だがまず敵情視察だ。私が由希とコロニー内を見て来よう。ミゲルはD装備で準備が出来次第発進してくれ」
「はい、分かりました!」
きびすを返したミゲルに目を向けると、彼は由希によって運び込まれたジンのコックピットブロックを睨むように見つめていた。
心配そうにミゲルを見つめる由希に、ラウが「行くぞ」と声をかける。
彼を気に掛けながらも「…了解です」と自分の後に従う姿は、もう立派な軍人で。
ラウは仮面の下で薄く笑う。
よくここまで育ったな───と。