小説

好き未確定
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「センパーイ」

突然の呼び声に、不意に頬に感じた熱。

「ハイ、今の感想聞かせて下さーい」

いきなり何を言っているんだこのカエルは。そして何て答えて欲しいんだ。
あぁ、頬にキスされたのは素直に嬉しい。しかしそれ以上に驚いたのは言うまでもない。

「ビックリして王子の寿命縮まったんだけどどうしてくれんの」

「それは良かった」

「何が良いんだブッ殺すぞ」

「……ぅう、酷いですー」

そう言いながら、わざとらしく目元に涙を溜めて俺を見る。
嘘泣きなんかで王子の情を誘おうなんてそうはいかない。

「ぅっ…ふぇ…どうせセンパイは、ミーの事なんて…何にもわかってないんですー!」

すると今度はボロボロと大粒の涙を流して抱き着いて来た。
何にもわかってないんですーなんて言われても、困る。んだが、嫌に可愛いなコイツ。あれだ、きっと中身の腹黒さを補うために外見だけはって神様が気を使ってくれたんだ。

「何で泣くんだよワケわかんねぇし〜」

「だって…コレ見て下さぁい」

人差し指を自分の唇に当てて、ひたすら俺を見つめる。
――成る程、だから何だと言うんだ。

「…唇切れたから泣いてんのか」

「泣く程痛いんですー。センパイはそんな事にも気付かずにミーの痛みに堪えながらのチューを、「寿命縮まった」の一言でかたずけたんですよー?」

「ししし、王子に謝れってか?」

「謝らなくていいから唇切れたの治して下さいよー」

また無茶な事を言う。俺は残念ながら回復魔法を使えるどこぞの白魔法使いじゃないし、事あるごとにすっげぇハイテクな道具をポケットから出したりするドラ●もんでもない。

「んなもんな、舐めときゃ治るんだよ」

てか別に舐めなくても治るだろうし。

「――あ、そっか。俺に舐めて貰いたいわけ?」

そう言ってフランの顎に手をかけて、俺の方を向かせて唇を舐め上げれば、顔を真っ赤にして視線をそらす。

「…もう、いいですー」

「ダメ、まだ治ってねーだろ」

実はそんなにたいして痛くもない場所に原始的な治療方法を施される様と言ったらマヌケにも程がある。と数分前の自分を罵倒し、唇に篭る熱を貪る。
最初は目の前の男を困らせてみたかっただけで、だから失敗と言えば失敗なのだが…―。ある意味成功した気分なのは、自分がこの人を好きだという証なのだろうか。

「ミー、センパイの事好きかもしれませーん」

「ししっ…んな事わかってる」





好きかもしれない、だから。





何か悔しいからまだまだ確定はして上げない。










2009.10.20 Airu
羽宮さんへ相互記念^^
初のベルフラ、という事なんでね、多少変でも許して下さい←
これからも末永く宜しくお願いしますm(__)m


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