小説

僕等が寒さに震える理由
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晒された白い肌、寒さに目覚めた雲雀は足元に散らばった服をかき集め、途端隣で眠っている少年に視線を移した。
少年は自分と同じくその肌を空気に晒して、微かに震えている。
手にした服を着る事もせず、ずれた布団を静かに少年の上に掛けると再びベッドに入り込み、――抱き着いて瞼を閉じる。

「一人じゃ…寒いね」





…―ただ寒さに怯えて。





指先があまりにも冷たいものだから、女々しくなるとわかっていても自然と指をカーディガンで隠してしまう。

「つなよし」

珍しく校門前に立って校則違反者のチェックをしていた雲雀は、大層眠たそうに大きな欠伸をしながら少年を呼び止める。

「寒いなら手袋をはめればいいのに」

カーディガンに隠された指を両手に包み込みながら、ごく当たり前の意見を述べる。
少年は制服と手袋の組み合わせはナンセンスだと思っている。尚且つ手袋が嫌いなのだ、学校にいる時ぐらいマフィア的要因を避けたいなんて事は言うまでも無い。
朝から際どいオーラを放つ二人の姿に、登校して来る生徒達は奇異、と言うより殆どが好奇の視線を送って足速に校門を通り過ぎる。
――あっという間に人口密度が減った校門前。取り残された二人は苦笑する。

「あー…変な目で見られた」

「別にいいじゃない、ほっとけば。ほら行くよ」

雲雀が校舎へ歩き出そうとすると、少年は放されかけたその手を再び掴み指を絡ませる。恋人繋ぎと言う奴だ。

「…変な目で見られるよ?」

「寒いもん」

「そう、ならイイけど」

微笑み、そのまま深く指を絡める。
…――寒さは孤独を連想させる。寒い時、無意識のうちに温もりを求めて、自分の手と手を擦り合わせて熱をおこしたり。息を吹き掛けて温めたり。一人じゃ、寒いんだよ。

「あ、そういえばさ」

「何?」

「昨日、ありがと、布団掛けてくれた?」

「…別に、どう致しまして」

でも二人なら 、寒く無いよ。孤独を感じる事も無い。





寒いと君が消えた気がして、孤独に包まれる。





だから、僕等は寒さに怯える(だから身体が震えるんだろう)。










2009.10.01 Airu


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