小説

唯一貴方に勝てる事
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何の取り柄も無い、ダメダメな俺が、こんなに幸せでいいのだろうか。
ふと隣に座る雲雀を見て、深く溜め息をつく。
綺麗な顔、喧嘩も強いし、品があって…実は結構優しいし、俺なんてその正反対。たいして良くもない顔、喧嘩は弱い、品がない(リボーンに言われた)、実は結構腹黒い(これは雲雀さんに言われた事)。

「どうしたのつなよし」

綱吉の肩にもたれながら、甘える様な仕草でそう尋ねる。
ほら、可愛いし、もうね、勝てる所が無い。

「も〜雲雀さんっ…!」

そう言って抱き着くと、ぎゅうっと抱きしめ返して来た。ほらもう、俺は幸せ物だ〜っ!
"あの"雲雀さんが!決して群れない雲雀さんが!抱きしめてくれるなんてそりゃ幸せどころじゃ無い、スーパー…いや、ハイパー幸せだ。

「…何か、俺が雲雀さんに勝てるところって無いかな?」

「え…そりゃ色々あるよ」

雲雀からすれば、つなよし少年はかなり可愛い。実際まだ幼さの残る顔は、可愛いらしいという表現がピッタリなわけだ。
カッコイイとは言い難い。
それに笑顔も泣き顔も、可愛い。だからとりあえず可愛い、総合して可愛い、可愛いよ。
あれ?可愛い所以外何かあるかな…あ。

「色気」

「はい?」

「色気がある」

「雲雀さんより?」

「うん」

いやいやいやいや、有り得ないだろう。だいたい色気があっても嬉しく無いし。

「…無いですよ」

「あるよ、君といると…ムラムラするから」

何だか某ゴリラ(銀魂)さんが似たような事を言っていた気がする。
だいたいムラムラが色気に直結するわけじゃないんだからね?

「無いですってば」

「じゃあ無くていいよ」

何だそれ。

「それを抜いても…僕よりいいとこなんて、数え切れない程ある」

「…何か、有り難うございます」

うん、完全にお世辞にしか聞こえないのは、気付かない事にしよう。





正直言って…唯一貴方に勝てる事があるとすれば、それは俺の消極的(ネガティブ)な所かもしれない。










2009.09.14 Airu





こちらからお題頂きました。
金属疲労


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