□序章
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「さぁ、これが僕たちの“永遠”の友情の証だよ」

赤の腰まで伸びた髪を三つ編みにしている青年は、そう言って目の前にある“モノ”に手をかざした。

するとその“モノ”の周囲から透明の壁が出現してそれを四角く囲い、最後に上部を蓋するかのように覆うと、透明だった壁は白に変わって中の“モノ”が見えなくなる。

「これで完成かな?」

青年は満足そうな笑みを浮かべると、後ろを振り返った。

その先には微妙そうな表情をしている、黒髪と海の底のような深い蒼の瞳を持った、赤髪の青年と同年齢の青年が立っている。

彼は赤髪の青年の笑みを見ると、ひとつ溜め息を吐いた。

「お前は……本来の職はまるで駄目だっていうのに、なんでそういう事ばかり得意なんだ」

「そういう事って、この封印の魔法のこと?
得意分野だからに決まってるじゃん♪

……って、本来の職がまるで駄目ってどういうこと?」

「サボりすぎだって意味で言ってるんだよ。
お前雇ってる意味がほとんどなくなってきたしな。……解雇するか?」

解雇という言葉を聞いて、赤髪の青年はムッとした。
「やだな、それは。
雇用関係にある親友からただの親友になっちゃうじゃん。つまらなくなる」

「なんだよそれ。……お前やっぱり意味不明で変なヤツだな」

「“海の王”から直々のお褒めにあずかり、光栄デス」

「………………」

赤髪の青年の飄々とした態度に、黒髪の青年はどこか疲れた様子で今度こそ呆れたという眼差しを向ける。
けれど赤髪の青年はその眼差しを受けても意に介さず、そしてにっこりと微笑みかけた。

「なんだかお疲れのようだね、相棒。
そんな君に僕から愛のたっぷり込もった歌をプレゼントして差し上げよう!」

「誰が相棒だ……。
それに疲れさせたのはお前だろうがっ!
愛も込めんでいい! 気色悪いから!!」

「フフ……。そう言わずに。
――では」

「おいっ勝手に歌……っ。
――勝手にしろっ」

黒髪の青年はなおも言い返そうとしたが、結局は雰囲気の変わった赤髪の青年を見て諦めた。

赤髪の青年は彼が黙ったのを見届けると深く息を吸い、そして、ひとつの旋律を紡ぎ出す。

それと同時に黒髪の青年は瞳を綴じ、その音だけに意識を集中させた。

(――初めて聴く歌だが……やはりこいつの歌は何度聴いても心が震えるな)

絶対に口には出さないことを思いながら。
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