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□エピローグ
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「今日の練習はここまで。
全員解散」
東條先輩の言葉で、部活は終了した。
大会が終わってから数日経つが、みちるには今もあの感動の余韻が残っていた。
「みちるも大分笑うようになったよね」
「えっ?」
隣で一緒に帰っていた美夜が突然言う。
「部活に復帰したとき、もう大丈夫なんだって思ったらまだ少し辛そうに見えたの。
でも、最近じゃ前みたいに笑ってくれるようになった」
「そうかな?」
少しずつ慣れてきたのかもしれない。
ケンイチのいない生活に。
「美夜」
その時、誰かから声が掛った。
「あっ、彼氏だ。そういえば今日一緒に帰るって約束してたんだ。
ごめん、みちる。
行っていい?」
「うん、いいよ」
みちるは彼氏の方へと駆けていった。
最近付き合い始めたらしいが、いつの間に出来たのやら。
ひとり、校門の方へと向かうみちる。
ケンイチのことを考えると、まだ涙が出てくるときがある。
でもきっと、少しずつ慣れてくるだろう。
実際美夜の言うように、普通に笑えるようになっていた。
そうだ、ケンイチと出会う前に戻っただけだ。
すぐに慣れる。
でも慣れたとしても、自分はケンイチを忘れることが出来るのか?
懐かしい思い出として、過ごすことは出来るのか……?