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□第四章
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ついに、劇の内容が決まった。
今回は副部長が内容を考えたらしく、完全オリジナル演劇となる。
ストーリーはというと、
二人の男女が主役で、ヒロインはパン屋で働く十八歳のエトアール。
そして、ヒーローが国の王子であるラハエル。
身分の違う二人がある日出会って恋に落ちる。
しかし、王さまの命でラハエルは戦争で指揮官をすることになり、二人は離れ離れになってしまう。
だが、エトアールはラハエルを待ち続け、そして幾日か経って傷を負った体ではあるが、ラハエルは生きて帰ってくる。
それから二人は結婚してハッピーエンド、と大まかに説明すればこのような内容だ。
(なんか……どこかで聞いた話のような気がするけど……)
まぁ、いいだろう。
「男女って事になると、やっぱりヒロイン役は菜穂で、ヒーローが役はみちるちゃんになるわよね」
副部長の言葉に、みんなが頷く。
「みちるはそれでいい?」
東條先輩がみちるに確認をとる。
みちるは頷いた。
「はい、今までどちらかというと男役が多かったのでそっちの方が助かります」
「そう。じゃあ私がエトアールを、そしてみちるがラハエル役を演じることで決定ね。
あと、他の役についてもこれから決めていくわよ」
それから、主役以外を決めていき、ひとりひとりに台本が配られた。
中を見てみるが、ほとんどがエトアールとラハエルの台詞ばかり。
(主役だから当たり前なんだけど……)
「こりゃ、大変だね」