□第三章
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次の日、みちるは部活で美夜に携帯を買ったことを話した。

「ついに買ったか!! もう高校生にもなって携帯を持たないなんてアンタぐらいだよ。
携帯貸して。私のアドレス入れるから」

みちるは美夜に携帯を渡す。

美夜はそれを受け取ると、早速なにやらいじくりだした。

「なんだ、もうメルアドとか考えちゃったんだ」

そんなことを言う美夜。

どうやら自分が考えたかったらしい。

「うん。あ、勝手に変えたりしないでよ。
昨日家に帰ってから説明書読んで頑張ったんだから」

「はいはい、分かってますよ。
でも、このデザイン可愛いね。なんだかみちるらしい」

携帯を見ながら美夜が言う。

「そうかな? ありがとう」

(須藤さんに選んでもらったなんて、とてもじゃないけど言えないな)

そう思った、その時、

「ねぇ、みちる。この『須藤さん』って誰?」

「えっ!?」

美夜の言葉に驚くみちる。
「だってほら……私より先に登録されてる」

美夜が携帯を見せる。

そこにはみちるが昨日打ち込んだケンイチのアドレスが表示されていた。

「これは……その……」

みちるは口ごもる。

「はは〜ん、なんか私に隠してるね、みちる」

美夜が言ったその時、東條先輩から集合がかかった。

部活の開始だ。

部員が全員東條先輩の方に集まっていく。

みちるは心の中で東條先輩に感謝した。

「みちる、続きは休憩時間にたっぷり聞くから」

そう言って携帯をみちるに返す美夜。

どうやら、もう逃げる事は出来ないらしい。

仕方なくみちるは頷いた。

(今日でなくても、いつか必ず話そうとは思っていたけど……まさか先にバレるなんて思ってもなかった)

美夜に隠し事をするのは無理なのかもしれない。

もうこれからはやめよう、と心の中で反省した。
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