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□第二章
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あの出会いから二週間が経った。
その間、一日も休みが無く仕事の毎日。
スケジュールは埋まっていて、手帳にはギッシリと予定が組み込まれて書かれていた。
もう暫くは休みがこないんじゃないかと思っていた時、叶がケンイチの前に来て顔を綻ばせた。
「おいケンイチ、やっと休みが出たぞ。来週の土日だ。そこに仕事が入ってきても断るつもりだからほぼ決定だ。喜べ!」
(……土日かぁ…。土曜日……)
ハッとケンイチはみちるとの約束を思い出した。
あの時は電話しないと決めていたが、今はどうしようかと悩んでいる。
あれから彼女の笑顔が頭を離れることがなかったのだ。
何故かは分からない。
そうして悩んでいるうちに、とうとう明日が休みの土曜日というところまできてしまった。
ケンイチはメモを取り出す。
そこにはみちるの電話番号と、彼女ね名前がケンイチの文字で綴られていた。
(どうせ悩むのなら――)
会った方が良いのかもしれない。
もう一度会ったら分かるかもしれない。
(……彼女の笑顔が忘れられない理由が)
ケンイチは携帯を取り出すとメモに沿って番号をひとつひとつ打っていった。