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□プロローグ
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私の名前は水無月みちる。十六歳。高校一年生。
この歳になると、恋やおしゃれ、流行ものに敏感になるっていうけど、私はそんなのには興味を持ったことがない。
そういう子はガリ勉に多いらしいけど、私は昔から勉強は大嫌い。勉強なんて糞くらえ!! とさえ思っているのだ。
そんな私だが、恋やおしゃれ、勉強以上に夢中になっているものがある。
それは、部活。
私の入っている部活は演劇部。
もともと入学した頃はどこの部活にも入るつもりはなかった。
だけど、友達に連れられて演劇部の見学に行ったのが始まりだった。
私は演劇なんてただ演技しているだけのものだと冷めた考えでいた。
だけど、実際に見ていると、私はその演技に釘付けきなってしまった。
一人一人が役に入り込んでいて自分の役をこなしている。
いや、それ以前に演技をすることを楽しんでいる。
それに女子演劇部らしく男子は入れないようだ。女子だけで男役も演じる。
まるで宝塚歌劇団のようだ。
おもしろい、やってみたい。
次の日になると友達と一緒に入部届を手に演劇部へと向かっていた。
入った当初は、演劇なんて経験の無かった私は先輩たちの練習を見ていることしか出来なかった。雑用しながら先輩たちが演技している姿を観察していた。
やっぱりかっこいい。
自分もあんな風になれたらいいといつも思っていた。
特に、一つ上の東條菜穂先輩はすごかった。
二年生ながらヒロイン役に選ばれ、三年生の中にいても存在感があって演技が上手い。
私の憧れの先輩だった。
私は、毎日家に帰っても演技の練習をした。
練習して練習して、頭には部活のことだけになった。