声優小説
□大人な貴方
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俺はいつだって諏訪部さんが大切で、誕生日だって・・ちゃんと祝ってあげたいと思ってる。でも諏訪部さんは俺に対していつも冷静で―俺はいつも空回りしてるみたいで・・無性に悔しい。
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「諏訪部さん、今日誕生日ですよね。おめでとうございます」
「あぁ、ありがとう。もう俺も年とったな」
「ところで、今日の夜って空いてますか?一緒にご飯でも・・・」
「そうだなぁ、空いてるには空いてるが少し遅くなる」
この年になれば誕生日くらいではしゃがないのは分かるが、少し冷静すぎる気もする・・・
と恋人のいささか冷めている態度が気になってしまう。
「何時頃になりそうですか?」
「9時には終わるかな・・・いや10時くらいかもな」
誕生日を祝うにしては遅い時間だが、恋人の誕生日に一緒に食事したいという
気持ちが消される理由にはならない。
「そんなに遅いなら俺、諏訪部さん家でご飯用意して待ってます。
家でなら思いっきりお祝いできるし・・・・」
「そうか。じゃあ、こっちも出来るだけ早めに帰るよ」
そういうと、肩を軽くたたいて立ち去ってしまう。
なんだか素っ気ない――
誕生日なんて気に留めてないのか・・・
それとも俺と一緒に過すのが嫌なのか・・・
と様々な考えが沸いた。
しかし、時間が待ってくれる訳もなく広樹も次の仕事へと気持ちを切り替え
その場を後にした。
時刻は8:30。テーブルの上の料理は完璧。
中には出来合いのものもあるけれど、冷蔵庫にはシャンパンとケーキもある。
後は恋人の帰りを待つだけ。
「よし!完璧。時間まで少しあるし少し眠っておこうかな」
仕事帰りで疲れていたこともあり、広樹はリビングのソファで軽い眠りについた。