たんぺん

□拍手文そのいち
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「ねぇ清田」

休憩時間、彼の前の席の私は振り向き、‘自称'ナンバーワンルーキー(何かにつけてそういうのですっかり覚えてしまった)に話かけた

「何だ!この俺様に聞きたい事でもあるのか?勉強以外ならなんでも聞いていいぞ」

と胸をはって言った

「そんなの初めから期待してないよ。前から思ってたんだけど、その髪の毛邪魔じゃないの?」

ショートカットの私にしてみれば、清田の中途半端な髪は邪魔としか思えない
しかも部活中の暑苦しさなんて想像したくもない
バレー部の私はそう思い聞いてみた

「かっかっかっお前にはわからねえか。この俺様の髪形の良さが。この髪形は俺様だから似合うんだ!」

とやっぱり胸をはって答えている

私は髪の短い清田を想像してみたが、やはり彼には今の方がしっくりくる

「そうかも。清田だから似合うのかもだね。私髪くくる程長くないから今度髪の毛結ばせて。いろんな髪型して遊んでみたいし」
とお願いしてみた

すると何故か顔を赤くした清田が

「遊ぶ?…まあお前になら特別に許可してやる」

と言った

その返事に満足した私は前を向いた

「おい。お前だから許可したんだからな」
そう清田が言ってきたので、私は再び振り向き
「何で私だからなの?」

と聞くと、まだ顔の赤い清田がそっぽを向き

「分からねぇのか?普通、人に髪触らせたりするか?お前はそうなのか」

清田のその言葉の意味を理解した私も顔が火照るのを感じた


教室のざわめきの中で何故か顔を赤くしている二人を清田の友人が囃し立てる。

「おっなんかここだけ温度が違うんですけどー」

その台詞に清田も

「うるせぇ」

と反論いるが顔が赤い為、説得力がない

そして授業が始まったので前を向くと後ろからメモが渡された

“今日部活終わったら一緒に帰らねぇか?”

汚い字でそう書いてあった

そのメモを読んだ私も返事のメモをさっと書き、後ろへ回す

“いいよ。じゃ、終わったら校門の前で待ち合わせしよ”

私はなんだか胸がくすぐったくなる様な気分で授業に集中させた

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