シルシ
□シルシ 7
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ふと我に返った凛はダメ元で流川を起こしてみる事にした
「ねぇ!流川!起きなよ!」
やはり普通に起こしても無駄の様だ。凛は反射的に頭を叩きそうになったが、相手が怪我人である事を思い出し、慌てて手を下ろした
すぅーっ
息を吸い大きな声で
「起きろって言ってんだろ!」
と叫ぶと、流川の瞼がゆっくりと開いた。ぼーとした状態で辺りを見渡し
「…ココは?」
…まあ当然の質問である
すると何故か慌てた凛が
「あのねーアンタん家知らないからウチに連れて来てあげたの!感謝しろ!」
病院からの記憶がない流川にしてみると
「…なんで?」
ぶちっ
「それはアンタが起きねーからだろーが!」
「…るせー頭に響く…」
と言っていたが無視して凛は片手の人指し指で自分の頬をさしにっこりと笑顔で
「今日のはひとつ貸しね♪」
と歌う様に少し高めの声で言ったが、それは流川によってスルーされた。
凛は結構恥ずかしくなってきたのを誤魔化す様に再び叫んだ
「アンタが病院に連れていけって言うから連れて行ってあげたし、フラフラなアンタをココまで運んでやったのに…アンタ何様なのよーっ」
そう一気にまくし立てると流川は物凄く嫌そうな顔で
「…で、その貸しってどーすればイー訳?」
と言った。何も考えてなかった凛が黙っていると
「今思いつかないならなし」
と流川が言う
「待って!流川様暫しのお待ちを!」
完全に立場が逆転していたその事に流川は気付き一人満足していたが、凛は
‘どんな貸しにしてやろうか?’
という問題で頭が一杯でその事実に気付いていなかった
結局流川に頼みこんで一晩の猶予を得たのであった