シルシ
□シルシ 2
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一方…
密かに機嫌の悪い男がいた流川楓である
(にゃろう…)
流川の中で女という生き物はキャーキャーうるさいものだと思っていたが、あの女はそんな流川の想像を容易く覆した
春休み…まだ体育館が使えない為、いつもいく公園で練習していると、いきなり乱入してきた
…違う意味で騒がしい奴ではあったが
しかしボールを持つと先程まで騒がしかったのが嘘かの様に鋭い眼差しでゴールを見ていた
まるで別人の様だった
教室で見掛けた時、自分でも不思議だが、子供じみた事をしてしまっていた
それに対してこちらを大きな瞳でおもいきり睨みつけた事は綺麗に忘れている様で、自ら“温厚”と言っていた
温厚な人間は決して人を叩かないだろう
しかも自分よりはるかにデカい人間を躊躇なく叩いておいて
流川は自分のした事を綺麗に棚に上げ、叩かれた頭に触れた
(ふーん…あんな女いねーよな…)
その顔はまるでオモチャを見つけた子供の様であった