シルシ
□シルシ 7
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キキーッ
自転車が小さなアパートの前で止まった。1DKの凛の城である
幸い1階だったので引きずる様に流川を家の中へと放り込んだ
「ふーっ。さて、ここからが問題だ…」
いつの間にか凛のお気に入りのソファーにドカリと座り、頭をこっくりこっくりしている流川を前にして凛は頭を抱えた
「コイツどうしよ…」
つい勢いで連れて来たはいいが、その後の事を全く考えていなかった
(流川を家に上げた事洋平に知られたら…)
それを考えると凛は背筋がゾッとするのを感じた
(あの屈辱の説教タイムは是非避けたい!)
中学の時から凛が何かしでかすたびに洋平からお叱りを受けていた。しかも凛はそれを正座で聞かなければいけない…
多分、日本で自分だけだったであろう…
バリバリのヤンキーに日常の態度を説教されているのは
…苦い思い出である
その上凛がひとり暮らしを初めてからはさらにチェックが厳しくなっている
だから流川を家にあげた事自体洋平に知られるのは大変マズい
…とりあえず洋平の事は置いておく事に決めた
(だからママンて呼ばれるんだよ!)
心の中でそう毒つぐ
ちなみに洋平をママン扱いしてるのは凛だけである