たからもの

□アレンジスタイル
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「ピンチ!ピンチ!あっくん史上最大の緊急事態発生や!」


「なんやの土屋。登校していきなり騒がしいな」


「だからあっくんに史上最悪のピンチ!」


「どないしたん?聞いたるから少し落ち着き」


「ここ!あっくん自慢のサラサラヘアーが!」


「はぁ…何かと思ったらただの寝癖やないの。そんな事でいちいち騒がんとき、土屋」


「なにゆーてんの!このあっくん自慢のサラサラの髪の毛、ここだけおかしな方に跳ねてんやで!」


「『この』ってどの土屋やねん」


「起きてからずっと直してるのに全然治らんのよ!?…このままじゃ…このままじゃ、あっくんの爽やかで清楚なイメージガタ落ちや!」


「……もうどっから突っ込んでええんかわからんし。」


「この緊急事態どないしたらいい?」


「だぁ!そんな捨てられた子犬見たいな目で見んといて!!…まぁ、変な寝癖ついててみっともないのは確かやな。ちょい待ち、土屋」








「うち、ワックス持ってんねん。これ使って無造作ヘアーで誤魔化せばええんちゃう」


「流石ナイスアイディア!…うっ…あっくんのために……感激や……でもな、あっくんめっちゃ嬉しいけど、実はワックス使った事ないねんな…」


「はぁ?土屋ワックス使った事ないん?」


「あっくん、このサラサラの髪を生かした髪型にずっとこだわってんねん。ワックスつけるとこのサラサラが死んでまうやろ?」


「『死んでまうやろ?』って、うちに同意を求められても…」


「というわけで、よろしく頼むわ」


「なにを」


「もう、照れ屋さんやね。不器用なあっくんの為に髪セットして」


「なっ!なんでうちが!」


「あっくんのこの髪に触れられるのは、目の前にいるお前だけやで…」


「うわっ!気色悪っ!鳥肌立つからやめんかいっ!」
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