ダンボール戦機

□捧げ物:小説
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『アキレスお兄ちゃん!』
振り向くとそこには小さなバスケットを持ったジョーカーが立っていた。
『どうしたんだ?ジョーカー』
『ピクニック行こうよ!』
『え…ああ』



雨があがるまでゆっくりおやすみ



ジョーカーはふらりと現れてはアキレスを何かに誘う。
花見であったり、散歩であったり。
『ちゃんと書き置きをしてきたか』
『うん、ちゃんとしてきたしダイキに遊びに行ってくるって言ったよ!』
以前、何も告げず遊びに来たときには仙道が町内を捜し回ったと聞いた。
流石にこれはいけないと思ったアキレスは、ジョーカーに遊びに来るときは書き置きをするようにと言った。
それ以来ジョーカーはしっかりと書き置きをするようになった。
『ピクニックとはいっても何処に行くんだ』
『えっとね…こっち!』
ジョーカーはアキレスの手を握ると走りはじめた。
アキレスもそれに合わせて軽く走る。
『ジョーカー、あとどのくらいで着くんだ』
『もう少し…ほら見えた!』
ジョーカーが指差した方向を見ると大型の公園があった。
公園に入ると芝生の上にジョーカーが陣取る。
ジョーカーはバスケットの中から可愛らしい猫柄のレジャーシートを取り出すと、芝生の上に敷きはじめた。
『ジョーカー、手伝おう』
『ありがとう、お兄ちゃん』
レジャーシートを敷き終わり、二人でシートの上に座る。
ジョーカーは持って来たバスケットの中をいじっている。
『何を持って来たんだ』
ジョーカーは嬉しそうに言いはじめた。
『えっとね、飴に、クッキーに、チョコレートに…』
小さなバスケットからお菓子が出て来る出て来る。
こんな量をどうやって入れたのかと、アキレスが疑問に思うほど出て来る。
『ジョーカー、こんなには食べきれないからクッキー以外は仕舞おう』
『うん…わかったよ、そうだ!』
ジョーカーは手を合わせて嬉々として言った。
『今度はクノイチお姉ちゃんやハンターお兄ちゃんやバンやダイキも誘おう!』
『みんな誘うと賑やかで楽しそうだな』
『でしょ…でもエンペラーはやだなぁ』
ジョーカーはとても嫌そうに言う。
意外な所でもエンペラーは嫌われていた。
『ん?』
アキレスは空を見上げた。
先程まで青かった空を分厚い雲が覆っていく。
ポツリ、ポツリと雨粒が落ちて来た。
『雨だ。ジョーカー、屋根の下で雨宿りしよう』
『うん!』
いくら生活防水加工をしていても雨に打たれたらたまったものではない。
アキレスとジョーカーが屋根の下に着く頃には雨は本格的に降り出し、とても帰れる状態ではなくなっていた。
『通り雨か…困ったな』
『どうしよう』
ジョーカーは俯きながら呟いた。
『…ダイキ心配してるのかな』
そのままジョーカーは泣きじゃくりそうになる。
一人前ぶっているが精神的にはまだ子供。
急に不安にだってなるのだ。
『大丈夫だ、きっと迎えに来る』
『…本当?』
『ああ』
その会話以降話が途絶えた。
やたらとジョーカーが静かなのでアキレスは顔を覗き込んだ。
寝ている。
寝ているといってもスリープモードに近い。
アキレスは寝ているジョーカーの頭を撫でる。
機械なので温もりはないが、くすぐったいのか身じろぎをする。
『おやすみ、ジョーカー』
通り雨があがるまであと少し。







2000番のキリリク
『とりあえずアキレスとジョーカーで何かSSを書くべき』
クルイローに捧げるよ
受け取れ、いや、投げ付ける攻撃
2000番ありがとうございました!

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