Dream ]U
□白昼の秘め事
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白昼夢。
そんな言葉が似合いやと思うとった。
あんだけガタガタやった街も、今じゃすっかり元通りや。
目ぇ覚めて生きとると実感すると同時に、また一人取り残されてしもうた虚無感がどうにも拭えんで笑てまう。
「はぁ、屋台の準備せな…」
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「毎度!また来たってや!」
毎日同じ事の繰り返しの中でも、あの荒れてた頃の自分にはなかった今の生活が宝みたいなもんになっとった。
客が美味いと笑てくれる。
また来たで、なんて言うて下らん世間話なんぞしながら覚えた客の顔。
おやっさんが言うてた通り、どれもこれも大事な宝もんや。
「二つくれや」
「毎度……って、何やあんたかいな真島はん」
「ヒッヒッ、そないな態度客に取ったらあかんで龍司」
「冷やかしに来たんかいな」
「ちゃうて、ちゃんと二つ言うたやろ」
ほれ、と分厚い財布を目の前にずいっと差し出され、分かった分かったと呆れながら二つ分のたこ焼きを袋に詰める。
仮にも東城会直系の組長様が、連れも付けんとたこ焼き買うてるなんぞ平和な世の中になったもんや。