Dream ]U

□覚束ない笑顔のまま君は僕の好きな歌を歌っていた。
2ページ/9ページ







(悟天、お前ぇの父ちゃんだべ)






あぁ、そう言われてみたらそっくりだなって。
まるで親戚の叔父さんのような感じで、あの日の俺は見ていたんだった。
でも父さんだと言われて、似ているという自覚もあって、七年間も会いたくて仕方なかった父さんが目の前に居るんだ。
そう考えたら、俺はいつの間にか走っていた。
足元に縋り付いて、お父さん、お父さん、と呼んで。
初めて撫でられた大きな手。
初めて感じた父さんの匂い。
何もかも初めてだったのに、何故か懐かしいとか思っちゃったり。
そりゃ確かに、母さんを一人きりにさせていたという憤りはあった。
でも会ってしまうと不思議で、何でも許せてしまうんだ。
貴方がこうして帰ってきてくれた。
たった一日だけだっていい。
そのたった一日でも、俺達は家族になれたんだから。
多くは望まないよ。
我が儘だって言わないよ。
だからこの一日は、俺達の父さんでいて欲しい。
そう切に願っていた。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ