Dream ]U

□それを愛とは知らずに
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(………、)

(あぁ、本当だな!天気もいいし!)

(確かに、月もあんなに近い)

(え、もんじ?今の長次の声聴こえたのか?)

(当たり前だ、バカタレ。何年一緒に居ると思ってやがる)

(じ、じゃあ、長次は今何て言ったでしょう!)

(今夜は随分明るいな、だろ)

(うっ、当たってる…。くっそー!もんじのくせに生意気だ!!)

(はぁ!?)

(………………、)

(何だよ長次!私悪くないぞ!)

(気にするな、長次。こいつの暴君にゃ慣れてる)






はっと顔を上げた。
どうやら寝てしまっていたらしい。
月の位置を確認してみれば、まだ一刻も経っていないようだ。
その一刻の間に見た夢は俺を何時までも悩ませている原因の一部であり、ある意味全てでもある。
確かに奴は同室として、俺より遥かに長く共に過ごしてきた。
だが俺も、友人として長い月日を共に過ごしている。
鍛練を共にする時間も増え、奴と同じように時間を共有してきたのにだ。
…解せんな。
それでも俺と奴とでは、天と地程の刻の差がある。
………解せん、とは。
そこで何時も引っ掛かる。
何故解せんと思うのか。
他の輩なら、あぁそうですかで終いなんだろう。
だがそうもいかなかった。
悔しいとはまた違う、腹の底から涌き出てくる苦痛だ。



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