Treasure U
□パパの手
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「ありがとうございます、ありがとうございます!!
ほんとに…なんとお礼を言っていいか…すみません、ありがとうございます!!」
泣きわめく子どもを抱きしめながら、泣き叫ぶようにブルマにお礼を言う母親。
「ボク〜、橋の上ではふざけちゃダメよ〜、ここけっこう深いんだから。
まあとにかく、無事で良かったわ。
じゃあね、気をつけて」
「ま、待ってください!あ、あの、ちゃんとお礼に伺います、お名前とご住所を…」
「いいわよ、そんなの」
「でっ、でも!
せめて、うちでお風呂使って、お洋服をお洗濯させてください、うちすぐ近くなんです、
それから、」
「いいってば、うちもすぐ近くなのよ。
別に人助けしようと思ったわけじゃないわ、たまたまあたしが一番近くにいただけ。
困ったときはお互い様でしょ」
「で、でも、」
「あ、ダンナが来たからもう行くわ。じゃあね〜」
こちらを見ながら呆然と立ち尽くすベジータに気づいて、
ブルマはそちらへ駆け寄り、雫を滴らせながらおどけて見せた。
「こんな格好になっちゃったからさ、帰りましょ?
トランクスは?………ちょ、ちょっと、ベジータ?、」
ベジータは普段以上に厳しい表情でブルマの前を通り過ぎると、
落ちた子どもと母親の方へ、つかつかと歩いていく。
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