Treasure U
□パパの手
1ページ/6ページ
そう遠くないところから、ドボン、という水音。
直後に上がる悲鳴とざわめき。
「…チッ、なんだ騒々しい」
うららかな午後。
ブルマの外出に付き合わされて、トランクスと3人で近くの公園に来て、
芝生に寝転がってうとうとしていたベジータは、さも面倒くさそうに薄く目を開け、身体を起こした。
公園の大きな池にかかった橋の上から、
知らない女が乗り出すように池を見下ろして騒いでいて、
その周りにざわめく人だかりが出来ている。
「……ガキでも落ちたか。
ガキが大事なら、親がすぐに飛び込んで引き上げてやればいいものを」
小さく悪態をつきつつベジータは立ち上がった。
「他人のガキのために水に潜ってずぶ濡れになるのは御免だ…トランクスに行かせるか」
そんなことをつぶやきながらそちらへ歩み寄ると。
悲鳴とざわめきが、拍手と歓声にかわる。
人だかりがいっせいに屈みこみ、橋の下に向かって手を差し伸べる。
すぐに、ずぶ濡れの子どもが引き上げられ……子どもは数回咳き込んだ後、大声で泣き出した……無事のようだ。
ベジータは足を止め、踵を返そうとした……が。
その後すぐまた拍手が沸き起こり、飛び込んで子どもを助けたらしい人物が、人だかりに引き上げられた。
ずぶ濡れで上がってきたその人物を見て、ベジータは仰天して叫んだ。
「…ブ……ブルマ!!」
.