Treasure U

□パパの手
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そう遠くないところから、ドボン、という水音。

直後に上がる悲鳴とざわめき。


「…チッ、なんだ騒々しい」


うららかな午後。

ブルマの外出に付き合わされて、トランクスと3人で近くの公園に来て、

芝生に寝転がってうとうとしていたベジータは、さも面倒くさそうに薄く目を開け、身体を起こした。


公園の大きな池にかかった橋の上から、

知らない女が乗り出すように池を見下ろして騒いでいて、

その周りにざわめく人だかりが出来ている。


「……ガキでも落ちたか。

ガキが大事なら、親がすぐに飛び込んで引き上げてやればいいものを」


小さく悪態をつきつつベジータは立ち上がった。


「他人のガキのために水に潜ってずぶ濡れになるのは御免だ…トランクスに行かせるか」


そんなことをつぶやきながらそちらへ歩み寄ると。


悲鳴とざわめきが、拍手と歓声にかわる。

人だかりがいっせいに屈みこみ、橋の下に向かって手を差し伸べる。

すぐに、ずぶ濡れの子どもが引き上げられ……子どもは数回咳き込んだ後、大声で泣き出した……無事のようだ。

ベジータは足を止め、踵を返そうとした……が。


その後すぐまた拍手が沸き起こり、飛び込んで子どもを助けたらしい人物が、人だかりに引き上げられた。

ずぶ濡れで上がってきたその人物を見て、ベジータは仰天して叫んだ。


「…ブ……ブルマ!!」


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