OTHERS
□悪戯かきなこ餅か
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『で、どういう意味なんだい?』
「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ〜!」
お嬢は嬉しそうに笑むと、慶次に抱きかかえられたまま再びぎゅっと抱きついた。
慶次はお嬢をゆっくり下ろすと、彼女の視線に小さな包みを見せる。
「残念だなお嬢。
‥きなこ餅。食いたがってたから今丁度買ってきた所だ。」
『わぁぁ〜!』
お嬢は悪戯しようと企んでいた瞳を一瞬で輝かせてその包みに手を伸ばす。
嬉しそうなお嬢を見て慶次の顔にも自然と笑みがこぼれる。
『私に買ってきてくれたんですか?』
「ああ、城下でうまい店の噂を聞いたんでな。」
『慶次様ぁっ!大好き!』
お嬢は慶次に再び抱きつき、最上の笑みを浮かべる。
* * * * *
二人は縁側でお茶ときなこ餅を頂くことにした。
慶次の買ってきたきなこ餅にたっぷりの黒蜜をかけると、お嬢は楊枝で1つ刺して慶次の口元へ運ぶ。
『はい、慶次様あーん』
「あー‥」
『美味しいですか?』
お嬢は慶次の口が動くのを見ながら問掛ける。
「うん、なかなかだ。」
『お嬢にも!』
「はいはい、あー‥」
『あーん♪』
今度はお嬢の口に慶次の手から運ばれる。
ぱくりときなこ餅を口にしたお嬢は頬を緩ませると幸せそうに慶次に顔を向ける。
『美味しい〜!』
「ははっ、そりゃあ良かった。」
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