OTHERS
□play a bliss tune
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穏やかな昼下がり。
柔らかな潮風が海から流れ、城の廊下を駆け抜ける。
諸国がそれぞれ我こそは、と声をあげるこの戦国時代であるが、
天道様の光は常に同じ穏やかさと温かさを与えてくれる。
戦もひとだんらく、
四国にある長曽我部の拠城にも、城主元親の奏でる三味線の音がこだましていた。
昼食を終えた昼下がり。
家来たちの話し声や、女官たちの笑い声があちこちから聞こえ、
台所は片付けにおわれて忙しそうだ。
『今日も美味しかったです、包丁人さん。皆さんもご苦労様。』
「御方様!」
せわしない台所に、膳を片しに現れた元親の妻・お嬢。嬉しそうに空になった食器を女官に渡し、料理人と女官にねぎらいの言葉をかけた。
「御方様、旬の筍、美味しかったでしょう!」
『えぇ、元親様もとても満足してらっしゃいましたよ。私も、おいしくておかわり頂きたいくらいでした!』
「「ありがとうございます!」」
料理人と手伝いの女官は優しくおおらかなお嬢の言葉に嬉しそうな声をあげる。
お嬢は美しい笑顔を残して台所をあとにした。
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