ジョジョ
□漆黒コッコローネ
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『あっ…わーい!カシスがある〜!』
嬉しそうな声のあと、ガチャガチャと音がしてお嬢が戻って来る。
手にはお嬢お気に入りの色鮮やかなヴェネツィアングラス。
着物の裾をひらめかせて再びリゾットの横に座る。
桜の香り
と
カシスの香り。
『見てリゾット!カシスソルベがあったわ!』
「ペッシが買い出しに行った。」
『流石私のペッシ!気が利くー』
彼女の手の中にあるグラスにはカシスソルベがちょこんと入っている。
お嬢は嬉しそうに笑うと、リゾットの膝に乗り向こう側にあるグラッパのグラスを手にとる‥そして自分の持つカシスソルベが入ったグラスにグラッパを注いだ。
「あまり入れすぎるなよ、また酔うぞ」
『ハーイ』
結局は甘え上手な彼女をどうにも出来ないリゾット。
少しだけ視線を落としてせめてもの忠告をするが当の本人は聞いているやらいないやら。
とにかく元気な返事だけが帰って来た。
『いただきます』
大好きなドルチェに向かってお行儀よく一礼したお嬢は嬉しそうにスプーンを口に運ぶ。
パソコンの画面を見るリゾットの膝の上、彼の美しい横顔を見ながら満足げに足をぱたぱたさせた。
―カタカタっ‥カチッ
「‥終わったぞ。」
データをしっかり保存すると、大人しくドルチェを楽しんでいたお嬢にやっと視線を落とす。
待ってました!とばかりにお嬢はグラスをテーブルに置くと、リゾットの首に腕を回した。
『リゾット、こっち向いて』
「ん‥。」
少し不機嫌な声でリゾットの銀色の髪を優しく撫でるお嬢。
リゾットはパソコンがシャットダウンするのを確認すると、お嬢に目を向けた。
『ふふ‥やっと見てくれた。』
「‥俺が悪いみたいな言い方だな。」
『リゾットが悪いんだよ』
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