ジョジョ
□意外に甘党な彼のセリフ
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パッショーネ 暗殺チームのアジト。
毎日毎日かわるがわるメンバーが来ては山とタバコを吸っているリビングには銘柄ごちゃまぜのにおいが充満している。
全員での話し合いの時、リーダーの話を端っこで聞いてるペッシが咳き込むのを見て、メンバー唯一の女性であるお嬢はついママンの気持ちになってしまうのだ。
そんなお嬢が、行動を起こした。
『全員禁煙!最低一週間!』
「「「はぁぁー!?」」」
メンバーが集まったリビングで高らかに宣言。
手にはジャッポーネの墨と筆で鮮烈に
「proibito fumare」[禁煙]
「E vietato fumare!」[ここでタバコを吸うな!]
と書かれた紙を掲げた。
もちろん激しくブーイングを受けたが、健康の為にも、ととりあえず一週間を説得‥全員が一週間禁煙出来たら、お嬢が自慢のチェーナを振る舞うというご褒美に、全員が頷いた。[彼女の作るジャッポーネの「ママンの味」の料理は最高なのだ。]
お嬢は皆の為に、沢山の飴やキャラメルを大きなボウルに用意した。
『吸いたくなったら飴やキャラメルを食べるの。キッチンに置いておくから、皆頑張ってね!』
「キャンディかぁ‥食うのガキの頃以来だな。」
愛らしい黄色の包みにくるまった飴玉を手にとり、ホルマジオは苦笑いする。
「俺は結構好きだよ、お嬢の国の、これなんか最高だよね。」
メローネは日本ではおなじみの、白い包みにイチゴの描かれた三角形の飴玉に手を伸ばす。
『皆が小さい頃から食べてたイタリアのキャンディも入ってるけど、私の国の飴玉もいっぱいいれてあるから飽きないはずよ。』
「タバコ我慢すんのにそんなんがきくのかよ?」
ギアッチョはメンバーが群がっている飴玉入りのボウルを遠目から眺めて言う。
『うーん‥まぁ口寂しい時にって感じ?』
「無いよりはマシということか。」
リゾットがボウルに手をつっこみ2〜3個の飴玉を持ってリビングを後にした。
メンバーたちもそれぞれ好きなキャンディを鷲掴みにすると部屋を出ていく。
ペッシは最後に「姉貴、ありがとう!」と満面の笑みで言い放ち、ついでに飴をひとつ持って出ていった。
最後リビングに残ったプロシュートは、お嬢の近くまでやってくる。
お嬢は皆にしたようにボウルを差し出すが、プロシュートはポケットに手をつっこんだままだった。
『‥?』
「なぁ、口が寂しいんだけど」
『ふふっ早速?はい、どうぞ?飴とキャラメルどっちがいい?』
お嬢がプロシュートのかわりにボウルに手を入れがさごそと物色した。
『オススメは青林檎味だけど‥プロシュートは甘いのより薄荷のがいいかなぁ?』
「そうじゃねぇ。」
『‥?』
お嬢はボウルに手を入れたまま、プロシュートの一言に不思議そうな顔を上げた。
「お嬢、お前が飴玉のかわりになれ。」
『えっ‥』
間の抜けた声をあげたお嬢は、既にプロシュートの腕の中。
そして首筋にプロシュートの唇が熱く優しくくっついた。
『っ‥プロシュート‥!』
「‥甘い。」
ニヤリと笑ったプロシュートのエメラルドの瞳は、お嬢の好きな青林檎飴のように透明で甘く‥、
彼女の手からキャンディのボウルが落ちて、キャンディよりも遥かに甘いキスが交わされるのだった。
意外に甘党な彼のセリフ
『なぁ、口が寂しいんだけど』
5部 プロシュート
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