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□比翼連理
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「此度の勝利は皆の勝利だ!遠呂智なき今、この地の勝利と平和に盃を!」

「「おぉっ!」」


孫堅の力強い言葉に、城の大きな庭に集まった武将たちは歓声をあげた。
呂布の協力のもと、遠呂智を打ち破った孫堅率いる呉国連合軍。
その輪の隅には、この勝利に一役かった源義経の姿もあった。


すっかり日も暮れて辺りは薄暗い。
松明に火を灯し、ゆらゆらと影が揺れる。


武将たちはそれぞれ盃を交わしながら陽気に笑ったり歌ったりしている。
義経も地面に腰を下ろし、静かに盃を傾けていた。


『義経様、飲んでらっしゃいますか?』


そんな義経の前に現れたのは、戦の始まりに森蘭丸と共に義経を助けた織田家の女武将・お嬢であった。
普段の鎧を脱ぎ、年相応の美しい着物に身を包んだお嬢を見上げた義経は言葉を失う。


‥なんて、愛らしいのか。


『‥?義経様?』

「あっ‥ああ、すまない」

『ふふ‥義経様ったら戦が終わってぼんやりしてらっしゃるんですね‥?さぁ、どうぞ?』

「‥ありがとう。」


お嬢は手に持っていた酒瓶を義経の盃に傾ける。


『義経様、ありがとうございました。』


「どうした?いきなり‥」

『義経様がいなかったらこの戦、勝てなかったかもしれません。戦の始め、呂布にお一人で立ち向かったその勇気、清盛出現の折に誰より先に出陣なさる焔のような勢い‥
どれ程の兵逹が義経様に勇気をもらったことか‥』


拳を握りしめ静かに力説するお嬢に、義経は少し照れたような、はにかんだ笑顔をむける。


「俺は自分の感情に従い動いただけだ‥それに、孫堅も言っていただろう。"皆の勝利"だと。」

『そうですけど‥』


少し不服そうに義経を見つめるお嬢。
義経は笑いながらそんなお嬢の頭を優しく撫でると、彼女の手にあった酒瓶を取り勧めた。


『あ、ありがとうございます‥!』


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