OTHERS
□The god of thunder stole
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何だか雲が厚いある日。
昼間だというのに、真っ暗で手元がよく見えない。
陸遜は自室で灯りをつけ、書簡に目を通しながら窓の外へと目をやる。
「‥一雨来そうですね。」
外が暗いと気分まで重くなる。
ふぅ‥と浅い溜め息を一つつくと、空の遠くから低い唸るような音が聞こえる。
本格的に、降りそうだ。
陸遜はじめじめした空気を気持悪いと思いつつ、雨が部屋に降り込んでくるのを避ける為に空いている窓に手をかける。
すると、部屋の外からは、ぱたぱたと走る音が聞こえてきた。
‥皆、焦っているのだろうか。
離れになっている場所から仕上がった書簡を上官の部屋へ届ける内政係も少なくはない。
雨が降ってきたら面倒なんだろう‥。
色々考えを巡らせていると、その中のある足音が次第に大きくなり、直後乱暴に扉の開く音がした。
『伯言さまぁっ‥』
そして聞こえる、愛しい女性の声。
背中に何かが勢いよくぶつかってきた。
「‥っと、どうしましたか?お嬢?」
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