OTHERS

□Kiss the Lion
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冬の太陽光が差し込む部屋でふっと眠りから醒める。
春は近く、光は入れど、その部屋の気温は低く、寒さに再び瞼が落ちてくる。


『ふぁぁあ‥‥ふ‥』


お嬢はそれを払うように大きな欠伸をすると、隣で自分を抱き締めながらくぅくぅと寝息を立てる金の鬣の獅子‥慶次の顔を眺める。

戦場に出る前に見せる楽しそうな顔とは似ても似つかない、安心してぐっすり眠る表情。

布団の外の冷たい空気と逆に、自分の腰に置かれた慶次の腕は暖かく、心地よい。


『慶次様‥』


ふと漏れた、愛しい彼の名前。お嬢は、自分よりもお寝坊な彼の寝顔を見ながら幸せに浸るこの時間が好きだった。


『慶次様』


再び名前を呼び、普段は結われている髪の毛にすっ‥と指を通す。
自分の黒い髪とは正反対の、輝くような金。その美しさに思わず溜め息を漏らす。


そのまま指を滑らせて、慶次の頬をそっと撫でる。
男らしい顔付きに、その頬を紅に染めるお嬢。
いつまで経っても、慶次を見るとつい恥ずかしくなってしまう。


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