ジョジョ

□routine night
1ページ/3ページ


昼間、砂漠を歩いた地獄のような暑さも、夜には嘘のように消えた。
頬をするりと撫でる夜風はひんやり冷たくて、とても気持ちいい。

時刻は深夜の1時。

一行がやっとの思いでたどり着いた宿で、お嬢はシャワーを浴び終えた。

さっぱりした気分で、タオルで湿った髪の毛を拭きながらバスルームを出た。

目を上げると、二つ並んだベッドの縁に座り外の月を眺める承太郎の姿が目に入る。


『承太郎、シャワーお先に頂きました。』

「あぁ。」


髪を手で整えながら、承太郎の隣に腰を下ろすお嬢。
窓の外を向いていた承太郎が顔をお嬢の方に向けると、彼女はニコリと笑った。


『さっぱりしたよ。今日は砂漠歩いたから汗かいてたし‥』

「そうだな。」


普段はクールな承太郎がお嬢に向けるのは、穏やかな笑み。
お嬢の頬を滑り落ちる水滴をタオルで拭った。


「昼間は死にそうな顔をしてたが、大分落ち着いたみてぇだな。」

『暑いの苦手なんだもん‥承太郎よく学ラン着てられるね?』


承太郎の厚手の学ランを見ながら言うお嬢。
彼はふっと笑うと、高校生だからな、なんてわけのわからない理由を口にした。


『ふふっ変な承太郎!』

「おい、変な‥とは言ってくれるな。」

『だって、その理由意味わかんない!』


お嬢は不機嫌そうな承太郎を笑った。
承太郎は声をあげて笑っているお嬢の顔を覗き込み、ニヤリと笑うと、彼女の腕を掴みぐっと顔を寄せた。


「生意気なのはこの口か‥?」

『んっ‥』


空いた手でお嬢の顎を掴み、親指が唇をなぞった。
承太郎の咎めるような言葉とは裏腹に、声は優しく、甘い響きを含んでいる。
お嬢は至近距離の彼、端正な顔立ちに煌めく瞳を見て、何度見ても慣れない美しさに思わず目を伏せた。


‥すると、承太郎の手が肩に添えられる。


次にお嬢が視線を上げると、眼前には承太郎、後ろには部屋に入って来た時に可愛いとはしゃいだ照明と天井が見えた。


『あ‥‥じょ、承太郎?』

「お嬢」


真剣な承太郎、お嬢はその碧い瞳に吸い込まれてしまいそうになり、うっとりと目を細めた。

ゆっくり、距離をつめる唇。

互いが目を閉じ、吐息を肌に感じる。


+
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ