ジョジョ

□decaduto 2:00 a.m.
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真っ暗闇に、ニヤけた目元のような細く青白い月が浮かぶ。
頼りない街灯が距離を置いて並ぶ路地に、黒猫はその姿を暗闇に隠して足早に物陰へと移動した。その瞳だけは、金色に輝いて、黒に映える。



decaduto 2:00 a.m.



プロシュートはターゲットの始末を終えて、アジトのアパートへ戻った。

深夜2時。

路地には彼の靴が石畳を蹴る音しかしない。

時間が時間なだけに、プロシュートは眠気と疲れに襲われていた。
早く寝たい、そう考えると思わず欠伸が出る。
だがその前に、煙草が吸いたい。ついでに酒だ。

翌日…というか、もう既に今日だが、丸一日オフであることを考えるとつい、その欲望も溢れ出る。


暗がりで、目の前を黒猫が駆けていく。
黒猫は軽々高い塀を登ると、プロシュートが出した鍵の擦れる、チャリ、という音にくるっと振り向きその金色の瞳が輝いた。

彼は気にすることもなく、アパートの扉の鍵を開けて、中へと入る。
しかし、そこも外と大して変わらぬ暗闇。
他のメンバーは皆仕事か、もしくは睡眠中か、物音はしない。


プロシュートは靴音を響かせ、そのまま共用のキッチンへと向かう。

きっちりと整えられた髪に指先を通し、ミントグリーンの髪がハラリとほどけていく。そしてまた、欠伸をひとつ。

キッチンの壁に指を這わせて、ライトのスイッチを入れた。
部屋がパッと明るくオレンジに照らされる。古びた裸電球だが、暗闇を照らす立派な光だ。

テーブルの上には、メンバーの誰かが使って洗い終わったマグカップと、見慣れた報告書が置かれている。
その横には、小さなメモ紙にリゾットの文字。

『明日の朝に提出。疲れているだろうが、よろしく頼む。』

その達筆な文字を睨んで、プロシュートはため息をついた。


「明日朝って…もう何時間しかねーぞ…」


口から零れる小言。
しかし仕事は仕事。彼の性格上それを疎かにすることも出来ず、しかめっ面で報告書を手に取る。
そして壁際に乱雑に並ぶ酒瓶へ目を向けた。

赤ワイン、テキーラ、バーボン、カンパリ、ウォッカ、グラッパ、ジン…
どれもまちまちの残り具合、メンバーの好みもある。

プロシュートが手にしたのは、残り半分のバーボンウイスキー。
アメリカのセンスもまぁ悪くない、と思わすなかなかのラベルデザインと、野性的な口当たりを思い出す。
最後に食器棚からショットグラスを手にし、キッチンを出た。


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