メロドラマ D

□夢の檻 完結編
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緋毛纖を敷いた桧舞台には長唄連中がずらり居並び、五挺五枚の「雛鶴三番叟」は華やかに幕を開ける

能曲の「翁」より取られたいわゆる三番叟ものとは、トウトウタラリトウタラリと鼓の音や笛の譜を真似て口謡む囃子詞で始まる。

揉みの段で翁は 神の化身として ひたすら神々しく、千歳は美しく優雅に舞い、鈴の段の三番叟は威勢良く、勇ましく足拍子をとる
千歳、三番叟を従えた翁は、祝儀尽くしの舞を舞い、それは舞台の「清め」の意味を持つ、云わば皮切りでもあった。

秋の公演に、子方屋「鈴の屋」では三日で五番引き受けてており、なかでもこの舞台を引き祝いとするアレンとリナリーとの「二人静」には難曲の相舞ともあって、この一番は特に人々の関心も強かった。
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