コードギアス(BL)←--.--

□【ギルフォード家の日常】ギルフォード×ロイド
1ページ/4ページ



「ロ・・・ロイド・・・?何をしてるんですか?」

家に入った途端、辺りに漂う異臭に顔をしかめる。
甘いとも、苦いとも言いがたい匂い。

「あれぇ?ギルバート、随分早かったんですね〜。ふふ、じゃあ奥さんらしく、お帰りのキス〜♪」

ちゅ!と飛びつきながらキスをする。

タートルネックにチノパンという、いつものラフな格好だったが、その上に着ている白いエプロンが可愛らしくて、妙な匂いなどどうでも良くなってしまう。
ギルフォードは細い身体をぎゅうと抱きしめて、唇にキスをした。

「ただいま帰りました。今日はあまり軍務が立て込んでおりませんでしたので・・・」

嘘だった。

本当は残業しなければいけないほどの仕事がある。
正に山積みというやつだ。

しかし、【新婚】である自分が、どうして残業などできよう。
昼休みも取らず、午後の休憩時間も返上して、猛烈な勢いで仕事をこなしてきた。

あまりの勢いに、つけペンを3本潰してしまったほどだ。
しかし、昨日は5本潰したので、今日はまぁいい方だろう。

「お・・・奥・・・奥さん・・・」

「はぁ〜い」

呼ぶとニコリと答える。
それがこんなに幸せなことだとは。

喜びに顔が綻ぶのを止められない。
この喜びを味わう為なら、ペンの過剰消費くらい何だと言うのだろう。

「ギルバート?今日はねぇ、僕ちょっと凄いものに挑戦してみたんです〜」

にこにこ笑いながら、上目遣いにギルフォードを窺う。

可愛い。
犯罪的な角度だ。

「凄いもの・・・ですか?」

何となく嫌な予感がする。
予感というか、むしろ確信だが。

「ふふ、何だと思います〜?」

「は・・・いや・・・何でしょうか」

「じゃじゃじゃ〜ん!な〜んと!今日はプリンに挑戦してみましたぁ〜〜!」

その言葉に、やはりと思う。
この得体の知れない匂いの正体は・・・。

「そ・・・そうですか。それは凄いですね」

はは・・・と乾いた笑いを零す。

怖い。

この匂いがプリンだとは、到底思えない。
どんな物がプリンの代わりに出来ているのだろう。

「ねぇ、こっち来てください〜」

袖を引かれて台所へと向かう。

そうだろうとは思っていたが、キッチンは酷い有様だった。
ボウルや計量カップ、お玉に何故かマッシャーまで。
あらゆるキッチンツールが散乱している。

そして、当然というか何というか、その場からは先ほどの異臭が強く漂っていた。

「ほら、これぇ〜」

そう言って冷蔵庫からカップを出す。

見た目はプリンのカップだ。
透明で、花形をしている。
どこかのメーカーのプリンの空き容器を再利用しているらしい。

しかし。

どこからどう見ても、その容器の中身はプリンの色をしていない。
プリンというのは本来、卵黄と牛乳が混ざった色をしているのではないだろうか。

「こ・・・これは・・・チョコレートプディングというものでしょうか。それともゴマプディング?」

「チョコ・・・?ううん、チョコなんて入れてないですよ。勿論ゴマでもありません〜。ふつ〜のプリンの材料ですけどぉ?」

そう返されて絶句する。
この茶色というか、黒というか、様々な色が混沌としているこの物体が、本当にプリンの材料から作られたものだというのだろうか。

「そ・・・そうですか」

それ以外言えなかった。
可愛らしい奥さんに、これ以上何を言えるというのだろう。

「ふふ、味見してください〜」

途端、身体が硬直する。

やはり。
やはりそう来るのか。

奥さんはエプロンをヒラヒラさせながら近づいて来る。
その手にはプリン・・・では絶対ないと思うが、奥さんがそうだと言ってるのならそうなのだろう物体が。

ギルフォードは頭を巡らせる。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ