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□【Prisoner】シュナイゼル×ロイド
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窓から見える風景は、今日も変わり映えしない。
毎日見ているせいなのだろうか?
季節毎の変化はあるはずなのに、それを感じることがない。
気が付くと木々が青葉になっていたり、紅葉していたりする。

ロイドは四角く切り取られた窓を、ぼんやりと眺めていた。
いつから自分はこの景色を見るようになったのだろうか。
随分昔からのような気もするが、意外と短いのかもしれない。
どちらにしろ、ここには時計もカレンダーもないのだから自分に分かるはずもない。

窓から視線を戻すと、再びモニターを見つめる。
数字の羅列。
それを見ると、不思議と落ち着いてくる。
集中力が増し、他に何も考えなくて済むようになる。
ひたすらにキーを打ち込むことで、全ての疑問が払拭される。
それでいい。
何も考えない自分でいい。
考えたら最後、ここにはいられなくなるのだから。

不意に、カチャリという音が室内に響いた。
鍵を開ける音だ。
この部屋と外界との境を開ける音。
自分が待ち望んでいる音。

「やぁ、ロイド。元気にしていたかい?」

その声を聞いた途端、灰色だった部屋の風景に光が差した。
光が差す、というのは比喩でも何でもない。
彼が現れた途端、スポットライトでも当たったかのように、そこに光が現れるのだ。
それが人の上に立つ者の存在感というものなのだろうか。

「ええ、シュナイゼル」

ニコリと微笑むと、ロイドは彼を両手に迎え入れる。
シュナイゼルの身長はロイドより幾分高いが、彼はいつも膝を折って腕の中に収まる。
きゅうと抱きしめると、金色の髪からシュナイゼルの甘い匂いがふわりと香った。

「しばらく来られなくて悪かったね。寂しかっただろう?」

「いいえ、残念ながら少しも寂しくありませんでしたよ。面白い研究がありましてねぇ」

面白い研究があるというのは本当の事だ。
勿論、その研究を発表したり、現実に具現化することなどできはしないのだが。
ただ己の知識欲を満たす為だけの研究。
それでも探求することは、ロイドにとって大きな喜びなのだ。

「私は寂しかったよ。お前の顔を一日でも見れないと、頭がおかしくなりそうだ」

顔を埋めたままくぐもった声でそう続ける。

「宰相位、大変ですか?」

「ああ、大変だ。とてもね」

そうですか、とだけ言うと、ゆるゆると金色の髪をなでる。
滑らかな感触は、まるで子供のもののようだ。
一本たりとも絡まることがない、絹のような髪。

「お疲れ様、シュナイゼル」

その声にシュナイゼルが顔を上げる。

「お前だけだね、私に心からの労いの言葉をかけてくれるのは」

そのまま唇に口付けられる。
柔らかな感触にうっとりとすると、シュナイゼルの温かな舌がするりと入り込んできた。
巧みに舌を絡め取られて、きつく吸われる。

「可愛いね、私のロイド」

「シュナイゼル・・・」

ただ一言、そう呟けば、シュナイゼルの唇が再び自分を覆う。
口内を荒々しく嬲る仕草に、彼も同じ気持ちなのだと分かり、それが嬉しくてまた口付けをねだる。
強く求められている事実が、何より自分を熱くさせる。

「ちょうだい、早く」

身体を寄せると、頬に手がかかる。
そのままするりと首筋を辿られ、背中に痺れが走って。
紫紺の瞳が、一時でも真っ直ぐ自分に向けられている。
その事実だけがロイドの全てだった。

抱かれて寝台まで運ばれると、シュナイゼルの身体がすぐに自分を包み込む。
身体中を熱い掌で撫でられると、それだけで息が弾んだ。

これが自分の全て。
世界の全て。

シュナイゼルだけが・・・僕の全て。





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