彩雲国物語 (BL)← 5. 7

□【雪】飛翔×玉
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「御降ですね」

玉が白磁の杯を開けながら呟く。

「あ〜?おさがり?」

「新年に降る雪や雨のことですよ」

机に杯を置くと、窓辺に寄った。
外を窺えば、ちらちらと白いものがひっきりなしに落ちてきている。
地面は未だ黒いままだから、今降り出したのだろう。

「雪か、道理で寒いと思った」

燗をした酒を手酌で次々空けながら、飛翔も外を眺める。

「新年早々から縁起が悪いな」

涙を連想させる雪や雨は、新年には縁起のよくないものとされている。

玉はふふ、と笑うと、飛翔を振り返った。

「そうでもありませんよ。雪見酒は出来るし・・・」

カツカツと音を立てて歩み寄ると、飛翔の頬に手を伸べた。

「こんな風に、互いを温めあう口実にもなるでしょう?」

ゆったりと微笑むと、飛翔の首に腕を回して引き寄せる。
顔を傾けて、そのまま唇に吸い付いた。

ちゅ、と音を立てながら上唇を甘噛みしていると、飛翔の腕が玉の腰を捉える。

「誘ってんのか?」

「さぁ」

目を細める玉に、飛翔は下から口付けた。
唇の隙間から厚みのある舌を割り入れ、無遠慮に口内をかき回す。

「・・・ん・・・っ・・・・・・」

ぬるぬると這い回り、巧みに舌に絡みつく。
上顎を丹念になぞられ、玉はくぐもった声を上げた。

そんな玉の様子を上目で見ると、飛翔はぐいと腕に力を込めた。
途端、玉の身体が飛翔の膝に崩れ落ちて。

「じゃあまぁ、姫はじめといくか?」

ニヤニヤ笑いながら、見下ろしてくる。
その手は既に帯を解き始めていて。

「だからオヤジだってんですよ・・・・・・」

そう言って苦笑いを零す玉に、飛翔は今一度と口付けた。





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