都聖

赤い水
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悪魔のトリル──────────




「聖、ちょっと今からお前になる」
それは突然過ぎる言葉だった。目の前にいる瓜二つの彼の言っている意味が全く分からない。
「良いから黙って言う事を聞け。多分、…これは俺の考えだが都筑は悪魔に取り付かれてる」
「悪魔、に?」
前から用意していたと黒と金のウィッグを密がソファの後ろから取り出した。乱暴に被らされて着ていた服を乱暴に脱がされた。
「ちょ…、自分でやるよ。」
「早くしろ時間がないんだ!」
いつも冷静な密が声を荒げ、俺に十分恐怖を与えた。
"悪魔に取り付かれた都筑がお前を殺しに行くだろうな"
都筑が、俺を殺す。なんて…絶対ない。
そのまま"俺"になった密が"俺"の部屋へ行った



─────────

都筑が風呂から上がったらしい、俺は都筑に気付かれないように後をつけた。鼓動が止まらない。
俺の部屋へ入る都筑、中には"俺"になっている密がいる。
扉は少し開いていて中の様子が少し分かる、俺は密が用意した金髪のウィッグを押さえながら中をそっと覗いた。密になっちゃえば見つかったとしても俺は密として通す事が出来る、そう変装する時に言われた。
「悪魔から守ってやった礼…お前のカラダをもらおうかな、聖」
その言葉とほぼ同時に暗闇の中で何かが光るのが見えた。都筑の近く、…刃物のような光にも見えた、だけど動物の羽根にも見えた。




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