SLAMDUNK(ログ)
□初夏の空を見上げ思う
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通常練習を終え着替える為に部室に戻った。
室内には2年の先輩達が何人かいて、その会話は嫌でも耳に入ってくる。
「で、今からマリちゃんと会うのか?」
「まぁな。最近会う時間が少なかったから」
あぁ「マリちゃん」の話か…。
それは最近安田先輩が付き合い始めた女の名前。たまに練習見に来るけど、ちっこくてまぁフツウって感じ。
特に気になる話でもない。俺は気にも止めずロッカーから替えのTシャツを取り出そうとした。
これに着替えたらまた体育館に戻って自主練するつもりだった。何時になるかわかんねぇーけど、今日は土曜だから時間だけはたっぷりとある。
そんな時だった。
「少しでも会う時間が減るとさぁ、不安になるって言うんだ。メールはよく来るけど」
袖を通す右の手の動きが微妙に鈍った。
「へぇー。お前、愛されてんだなぁ。うらやましー」
「ははは」
「でも女ってそうゆーとこあるよな」
そして。
「まあな。でもそこがまたかわいいんだよなぁ」
「惚気かよ」
そこで俺の手は完全に完全に止まってしまったのだ。
「そんなもんスか?」
突然話に割り込んだ俺。当然室内は静まり返った。
「ど、どうした流川?」
いや、どうしたって、だから俺が聞きたいのは…。
「彼女って…、フツウそんなもんスか?」
女ってそんなもんなのか?
ちょっと会えなかったら不安になったり。メール頻繁に送ってきたり。部活で疲れた後でもわざわざ会う約束したり。
「そ、そうなんじゃないかな…。付き合ってたら…」
「そうなんスか…」
知らなかった。
「なんだ?流川って付き合ってるコいたのか?」
既に先輩の言葉は耳に入っていなかった。
俺は半分だけ着ていた新品のTシャツを脱ぎ捨て、替わりに制服を取り出す。
急いで着替え、カバンを肩に掛けた。
「お先っス」
「あ、ああ。お疲れ」