SLAMDUNK(ログ)

□勘違いから始まった恋
2ページ/4ページ


最近髪を切った。
ずっと伸ばしていたけど、暑くなるにつれてなんか鬱陶しくなってきて。
インターハイ予選も順当に勝ち進んでいたしここは気合いをいれてばっさりと、とまではいかないけれど、長めのショートカットといった感じでまあ結構気に入っている。
しかし、暫くしてちょっとやっかいな問題が出てきたのだ。



「ねえ、太郎」

「なに?」

ソファに座って必死にDSしている弟は今年中学に上がったばかりで、まだまだ男らしいというよりも可愛らしいと言った方が似合ってる。

「湘北の流川って、あんたの先輩になるんだよね」

「え、流川先輩がなに?」

普段ならどんなに話しかけようが絶対ゲームから目を話さない弟が、流川の名を聞いた途端、びっくりしたようにこっちを向いた。

「あんた、知り合い?」

「・・・知り合いっていうか、まぁ、中学の先輩だし」

「でもあっちが卒業してからあんた入学してんじゃん」

「まあ、そうだけど・・・。なんか、あったの?」

何か隠してるな、こいつ。そのよそよそしさがかなりアヤシイ。

「今日、会場で会った」

「まじっ!?で、何か言われたの?」

「うん」

たまたま男子と同じ会場だった。
試合を終えて帰ろうとしていた私の腕を後ろからいきなり誰かが掴んだ。もの凄い力で。
振り返ると、そこには私を見下ろすかなりいい男。不覚にもちょっとドキドキしてしまった。あれ、でもこの人、どこかで見たことがある。

「なんだ、お前、来てたのか」

「は?」

「来ねーとかいってたくせに」

「え?」

なんか意味不明なこと言ってる。宇宙人?
何がなんだか分からない私を見て、ちょっと苛立った様子の彼。
え、意味わかんない。勝手に呼び止められて一方的に喋られて、挙句の果てにイライラされて。私、どうしたらいいの?

「まあいい。ちゃんと見てろよ」

そう言って、去っていった。
なんだ、あの人。見てろって、私、もう帰るんですけど。

「あれ、流川だよね。富中だった」

後ろから友達が言った。

ああ、どこかで見たことあると思ったら。
通ってた学校は違ったけど(私は私立)、流川は中学時代から有名で、彼のプレイを研究したこともあったから何となくは覚えてた。

「あんた、もしかして太郎と間違われたんじゃない?」

「ええ!?」

帰りのバスの中で、友達が言った。

「そんなに私と太郎って似てる?」

「似てる。でも・・・普通は間違えないと思う」


ということがあったわけだ。


「公園で、時々一緒に練習してるんだ」

秘密にしてたのに、とふて腐れて太郎は言った。

「じゃあ、今度会ったら流川に言っといてよ。この前のは僕じゃありません。お姉ちゃんですって」

「・・・わかったけど。姉ちゃん、なんか余計なこと言ったりしてないよね」

「別に・・・」

と言ってからちょっと気になった。
確かに何も言わなかったけど、ちょっと感じ悪かったかもしれないってのはある。
まあ、それは太郎がちゃんと誤解を解けば済むことだから。
その時は、それぐらいにしか思ってなかった。
それ以上に、弟に間違われたってことがかなりショックで。
張り切って髪を切ったのは失敗だったなぁと、今更後悔したのだ。



弟視点に続く
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ