Silver Soul

□泣きたくなれば
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「ごめん…気の合う友達、じゃダメかな」



耳が悪くなったのか、俺。

別に告白してフラれたとかじゃねェ。
告白してちゃんと付き合った。

そんな相手から聞こえた言葉がこれだ。



「何、急に」

「…恋愛対象として見れなかった」



俺たち、付き合ってたんだよな?

俺の一方通行とかじゃなく、お前も好きだっつって付き合ったんだよな?

今頃 恋愛対象として見れない って…。




「ごめん…」

「謝んなよ」




言いたい事は山ほどある。

でも、それでも言わねェ。




「お前が言うなら仕方ねェ」

「…ばいばい、ありがと」







"ばいばい"だってよ。

今日の空みてェに俺の心も寒くなる。









「あーあ…」










ものすごい勇気出して、

恥ずかしい思いしながら告白して、

バカみてェに喜んで浮かれて、

バカみてェに惚れこんでたのにな。


最初っから倦怠期とかってワケでもなかった。

ちゃんと恋人らしく過ごしてた。


登下校も一緒にしたし、

放課後2人で出かけたりとかもした。

手も繋いだ。キスもした。



そんな沢山の大切な思い出も何もかも。



何も、最初っからなかったんだな。









「ははっ…冬の空気は目に染みらァ」








俺の脳裏に浮かぶ君の暖かな笑顔と反対に、

俺の頬には一筋の冷たい涙が流れていた。




好きになりたくなかった。

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