■ふたりじめ■

□宴もたけなわ
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「佐藤さんは中学の頃と比べるとかなり綺麗になられましたよね」





―――……


久しぶりにキセキの世代のメンバー6人+火神が集まり,飲み会なるものが開催されていた。

場所は黒子と火神がルームシェアしているアパートの一室…。

普段はそれなりの広さで閉塞感など感じない場所なのだが,集まっているメンバーの多数が大きな身体をしているため,多少の圧迫感は否めない…。

火神の作った料理をつまみに,皆で持ち寄った酎ハイやら日本酒やらワインやらを次々に空けていく面々…。

今日この場に集まっている方達は皆,中々の酒豪のようです。







皆,最近の大学生活はどうとか,高校時代の誰々が今何をしているとか近況報告をし合っている中…

問題の会話は先日のナンパ騒動の話を青峰が持ち出した事から始まった。



「あの時の赤司,マジ半端なかったわー」

「当り前だろ?花子を傷付けるものは親でも殺すからね」
「赤ちん殺人はだめだよー」


青峰はあの時の赤司の目を思い出し,思わず身震いをさせる。

そんな青峰を横目で見つつ,黄瀬はふと疑問に思い続けていた事を口にした。



「そういえば赤司っちと紫っちは花子っちのどこに惚れたんスか?」

「あ,それ俺も気になってた」



確かに花子は良く笑い,愛嬌もあるので可愛いと呼べないわけでもない。

…が,当然側にいる桃井や葵(※“ランチは美味しく”登場)の方がかなりの美人で,普通だったらそちらの方に目が引かれるだろう。

火神もそれを思ったため,黄瀬のその質問に乗っかった。





「え〜〜二人ともわかんないのー?」


紫原はポテトチップスをポリポリと齧りながら,心底驚いたような目を黄瀬と火神へと向けた。


「花子ちんより可愛い女の子なんていないしー」
「そうだな,花子程出来た女なんて世界中捜しても見つからないだろう」


紫原と赤司は二人で顔を見合わせ,何やら分かり合っているようだが,黄瀬と火神はやはり良く分からないため頭をかしげる。




「…佐藤は中学の時,マネージャーの中で誰よりも頑張っていたからな」


いつも笑顔で一生懸命で…周りを良く見ていた彼女はドリンクボトルを差し出すタイミングも絶妙だったのだよ,と緑間が眼鏡をくいっと直して手に持っているグラスを傾けた。



「まぁ,恋愛感情の有り無しはともかく,皆さんに好かれていましたよね」


今日何本目かも分からないビールの缶を開けながら黒子が続く。





「…だからと言って,さすがに赤司君と紫原君が二人して佐藤さんと付き合う事になったと言った時は心底驚きました」


まず二人が花子に告白する程の恋愛感情を抱いていた事にも驚いたが,さらに花子が二股状態で男性と付き合うという事,それを赤司も紫原も受け入れている事…と,その驚愕の事実は,当時の帝光中バスケ部の中での大事件ベスト3に入る程の衝撃だった…。
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