■近くて遠くて■

□思い出す…
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世間一般では良くある話。


12年前,私の兄と,健司の母が結婚したのだ。


そして兄のインドへの転勤が決まったのが2年前…。


日本から離れたくないと言った健司を,兄夫婦は私の所へと預けて,日本を旅立って行った…。





『…あの頃は…ちっちゃくて可愛かったなぁ…』


出会ったばかりの健司は目がくりっとしていて(今もだけど)

色素の薄い髪と肌をしていて(これも今もだけど)

わがままで(これも…以下略!)……



『………あれっ!?』



良く考えたら…健司が成長したのって図体だけじゃない!?





「…悪かったな!」

『……へっ!?』





不機嫌そうな声が答える…。


視線を上げれば,目の前には口を“へ”の字に曲げた王子が立っていた…。



「……全部口に出てたっつーの!」

『……あら…まぁ…』



…うっかりしてたわ…。


お風呂に入ってる最中とはいえ,心の呟きを口にしていたなんて…。





……えっ…?





…私…今…お風呂に…





『…!!…〜っきゃあぁぁ〜〜!!』

「うおっ!!」



悲鳴と共に,手に持っていた小さな洗面器を健司へと思いっ切り投げ付ける…


が,それはあっさりと片手で止められてしまった…。
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