01/02の日記

21:37
第84話 「蘇れ!!遊馬VSシャーク復活の決闘」(アニメ:遊戯王ZEXALII)
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アストラル『107番目のナンバーズの出現……。2体の銀河眼が揃った時に感じた、とてつもない何か……。そして、もう一人の銀河眼使い―――――ミザエル』


 突然起こった森の死闘はミザエルが自ら退却する事で幕を閉じた。カイトに対抗して召喚した《CNo.107 超銀河眼の時空竜》の力はミザエル自身にも制御しきれず、結果として決闘場として構築されていたスフィアフィールドを破壊、その中にいた遊馬はシャークと共に崖から落下、一命を取り留めたものの、かなりの傷を負っていた。


アストラル『あれがバリアンの正体…。彼らもついに、本気を出してきたという事か……。』


 バリアル・フォーゼによってバリアン世界の体を体現させたミザエル。彼らの真の力はスフィアフィールドでのみ発揮され、その姿をバリアン世界の姿に変える。


アストラル『遊馬よ、今君は身も心も傷ついている…。そして、ワタシも―――――。おそらくはバリアンが使っていたスフィアフィールドの影響だろう。王の鍵の中での休息を必要とする程のダメージを受けてしまった……。遊馬、こうするだけで君の迷い、恐れ、苦しみが手に取るように伝わってくる。』


 遊馬が見た悪夢。真っ黒な竜がアストラルと自分を深い地の底へ沈める夢。その竜こそ、ミザエルが解き放ったナンバーズを関する銀河眼そのものだった。


アストラル『苦しみながらも君がワタシを守ろうとしてくれる気持ちは嬉しい。だが、―――だがそれだけではだめなのだ……。』





・・・・・・




 激戦の末ホープを破壊されたまま意識を失った遊馬は、病院のベッドの上で目を覚ました。激しい痛みが今も残る体はあちこち包帯だらけ。しかし、それでも打撲程度の怪我で済んだのは不幸中の幸いだった。

 とっさに戸棚に置かれていた王の鍵を握り、夕陽に照らされて光輝くその温もりに遊馬は行き場のない焦燥感に似たようなものを感じていた。



遊馬「オレ、アストラルを守んなきゃなんないのに…絶対守るって決めたのに……。なのに、オレは―――――――」



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 ライフこそ残っていたものの、心は完全に折れてしまっていた。ただただ、鍵を握り締めて自分を責め続けている遊馬の姿を、シャークは隣のベッドでなんとも言えない苛立ちを感じながら見ていた。


凌牙「チ。」




折られたハート。守れなかった絆。無力さ、無知さ、無能さ。全てが遊馬を責め立てる。


 失った大切な想い。アストラルとすれ違う心。


 項垂れて悄気げる遊馬に、シャークが動き出す。













第84話「蘇れ!!遊馬VSシャーク復活の決闘」



明里「まったく!あんたと来たら決闘庵行ってはしゃぎ過ぎて崖から落ちたってどういう事よ!!?」


 病室に遊馬の姉、明里の怒鳴り声が反響する。いつもその声色に縮み上がる遊馬だが、今はおどけた様子もなく落ち込んだ様子でただただその説教を聞いていた。


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明里「しかも、えーっと……凌牙くんだっけ?友だちまで巻き込んじゃうなんて、あんたどんだけドジなのよ!!」

小鳥「(――――っていう事にしといた方が良い、ってリオさん言ってたけど……。)」


 心配そうに遊馬の顔を見つめる小鳥。バリアン世界からやってきた異世界人にデュエルで負けそうになってスフィアフィールドから落ちたあげく崖から転落した。なんて、信じてくれるハズがないし、関係の無い人を巻き込んでしまう可能性も考えて、ただの事故という事にしようと提案したのはリオだった。


明里「骨は折れてなかったからいいものの――――」

璃緒「あの……すみません。」

明里「――?」


 日が暮れるまで続きかねない明里の説教は、隣のベッドから仕切り越しに顔を出したリオによって遮られた。


璃緒「今、兄が休んだところなのでできればもう少し静かに……」

明里「あ、ご、ごめんなさい―――!じゃああたし仕事行くけど、大人しくしてるのよ!いいわね?」

遊馬「――――うん。」


 そう言うと、愛用しているバイクのメットを小脇に抱えたまま、ライダースーツの明里は病室を出て行った。


零「遊馬くんのお姉さんが、あんな怖い人だったとは――――。」

キャッシー「肝がキャット縮まりましたわ……。」

徳之助「あれじゃ嫁の貰い手に苦労するウラ」

鉄男「違ぇねぇ。」


 ははは、と笑う病室。遊馬が怪我をしたと聞いてナンバーズクラブ一同も見舞いに駆けつけていた。


等々力「みんな、トドのつまり静かにしないと――――!」


 先程のリオの台詞を思い出して委員長はみんなの笑い声を引き止める。


鉄男「あ、いけねっ!」


璃緒「―――ご心配なく、さっきのは嘘。」

小鳥「え?」



 シャークが寝たというのは、明里の説教を止めるためにリオが考えた口実だった。リオが仕切りを退けると、不機嫌そうな顔で本を読んでいるシャークがそこにいた。



璃緒「お姉さんも心配しての事でしょうが、ちょっと可哀想で……。」

鉄男「粋な気遣いができるリオさん……素敵だぁ……」(鉄男ォォォ)



凌牙「おいリオ、カーテン閉めろ。」


 目線は本に向けたまま、リオに話しかけるシャーク。


璃緒「え、でも――――」


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凌牙「隣のウジウジ野郎を見ると、虫唾が走るんだよ」


 シャークはさも嫌そうにわざとらしく遊馬のベッドとは反対方向に顔を背けた。










遊馬「はぁ……。」


 小鳥たちが家に帰って、病室は遊馬とシャークだけになった。夕食に出てきたサラダをつつきながらも、遊馬のいつもの威勢は皆無。何か動く度にただただため息をついていた。


シャーク「――――チ。イラっとくるぜ」


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 そして、遊馬は眠る度にあの悪夢を見せられた。咆哮する真っ黒な竜。頼りのホープの力さえ及ばず、守ると誓ったアストラルを見失い、そして――――暗闇に。


『どうした、立ち上がれないのか?ならばそのまま屈辱に塗れ眠るが良い――――――』


『“殲滅のタキオンスパイラル”!!!!』


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 黒い竜の息吹は混沌となって世界の全てを飲み込む。自分の体も、心も。



「あ……あ、あ………あああああああ!!!!」




 飛び起きたベッドの上で数分かけて、遊馬は自分がどこで何をしていたのかを思い出した。時計を見ると寝付いてからまだ一時間程しか経っていなかった。


遊馬「ゆ……夢か……。」


 寝汗でびっしょり濡れたベッドのシーツに手を着いて、無意識に体を起こしていた遊馬。これで三度目。現実と区別がつかないくらい鮮明な悪夢。


遊馬「オレは………」


凌牙「毎晩、毎晩、情けねぇ声でうなされやがって!!」


 真っ暗な病室でうなされる遊馬に、ついに我慢できなくなったシャークが仕切りを割って怒鳴り込んできました。


凌牙「だいたいなんだ!シケた面しやがって、いつものてめぇは――――」


「こぉらぁ!あんたたち今何時だと思ってるの!?」


凌牙「あ……。」












ハルト「だーめーだーよー、兄さん。友だちが入院したら、お見舞いに行かないと」


カイト「……。」


 遊馬のデュエルに割り込んだミザエル戦で得た異空間のデータを、フェイカーの装置を使って解析していたカイト。そんなカイトに、遊馬が入院していると聞きつけたハルトは、常識知らずの兄に一般常識を指南していた。


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ハルト「わかった。兄さんが行かないなら僕が行く。」


 しかし、こういう時の兄の攻略法を既に確立していたハルトは巧みに兄を誘導するように、背中を向けて歩き出した。


カイト「待て、どこへ行くつもりだ?」

ハルト「遊馬お見舞いに決まってるでしょ!」

オービタル『カイト様!ソロソロ予定シテイタオ見舞イに行クオ時間デス。』

ハルト「――――!?」


 突如割って入ったオービタルは、定時に予定していた知らせをカイトに伝える。


オービタル『カイト様ガ、バカトンマナンカニオ見舞イナド、モッタイナイコトデスガ――――』

カイト「……。」

ハルト「兄さん!」






遊馬「ぐぅわぁ!!」

「これで大丈夫、若い子は治りが早くていいわねぇ……。」


 バチン、と勢いよく背中に湿布を叩きつけられ、若干涙目になる遊馬。それでも、ここ数日で怪我はほとんど完治しかけていた。








凌牙「チ、ウジウジ野郎のせいでストレスかかりっぱなしだぜ。」


 今いち集中できずにぱたんと本を閉じたシャークは、検診に出て行った遊馬のベッドを覗き見て、そこに置いてあった王の鍵を見つけました。


凌牙「―――――――。」






・・・・・・・・




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遊馬「な、なんだよこれ……。」


 検診から戻った遊馬が見つけたのは、ベッドの上に置いてあったシャークからの書置きだった。


『 王の鍵は預かった 返して欲しければこの俺とデュエルしろ 屋上で待っている 』



 暗雲が立ち込め始めた空の下、雨を避けるためか屋上に出ていたのはシャークだけだった。



凌牙「遅ぇぞ、遊馬」

遊馬「一体どういうことなんだよ!何でお前が王の鍵を―――――!?」


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凌牙「何でも糞もあるか。コイツを返して欲しかったら、オレをデュエルでぶっ倒してみろ」


 今更シャークが敵対する事態に訳がわからずに途惑う遊馬。そんな遊馬を尻目に、シャークは初めて遊馬とデュエルした時と同じように、王の鍵をその手に抱えて挑発めいた態度で遊馬を脅した。


遊馬「く――――――」



凌牙「いくぜ、デュエルディスクセット!!」


「Dゲイザーセット!!」



「「デュエル!!!!」」


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 突発的に起こったデュエル。シャークの狙いは何なのか、遊馬も良くわからずにディスクを構えます。



アストラル『――――遊馬?』




遊馬「オレのターン、ドロー!」


●「オレはモンスターを裏守備表示でセット!」


遊馬「(オレが伏せたのは《ゴゴゴゴーレム》、まずはこいつで様子を見る―――――)」


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●「オレはこれでターンエンドだ!」


凌牙「何――――?!これで終わりだと?どういうつもりだ、勝つ気あんのかてめぇ!!」

遊馬「こ、これが今回のオレのタ……タク……?」

凌牙「タクティクス(戦略)もまともに言えねぇ癖に――――――!!」


 いつもなら無謀なくらい清々しくモンスターを展開してくる遊馬。だが、今はデュエルスタイルすら受身な遊馬に苛立つシャーク。


凌牙「ふざけんじゃねぇ!!」


 怒鳴り声と一緒に飛ばしたのは、その手に握っていた王の鍵。早々に人質を解放したシャークは、それを遊馬の元へと投げ捨てました。


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凌牙「やっぱり、てめぇ一人じゃ話になんねぇ。アストラルと一緒になってかかってこい!!」


 途惑いながらも鍵を拾い上げる遊馬。一瞬見つめたその視線の間に、大粒の雨が空から溢れ出します。


凌牙「オレのターン、ドロー!!」


凌牙「どうした?アストラルは出て来ねぇのか?お前の腰抜けぶりに、愛想を尽かしたか?」

遊馬「く―――――!」

○「ハハハ、オレは魔法カード《フィッシュ・スポーン》を発動!!このカードは、ライフを1000払って『フィッシュ・スポーン・トークン』を2体を特殊召喚!!」


《フィッシュ・スポーン》
通常魔法
1000ライフポイント支払って発動する。自分フィールド上に「フィッシュ・スポーン・トークン」(魚族・水・星1・攻/守0)2体を攻撃表示で特殊召喚する。


シャークLP4000→3000


○「オレは2体の『フィッシュ・スポーン・トークン』をリリース、レベル9の《ビッグ・ホエール》をアドバンス召喚!!!このモンスターを召喚した時、フィールド全ての裏守備モンスターを表側表示にする!!!」


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《ビッグ・ホエール》
☆9/水属性/魚族/ATK1000/DEFXXXX
このカードが召喚に成功した時、フィールド上に裏側守備表示で存在するモンスターを全て表側守備表示に変更する。1ターンに1度、自分の手札からレベル4以下の水属性モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。


「“ビッグ・リップル”!!!!」


《ゴゴゴゴーレム》
☆4/地属性/岩石族/攻1800/守1500
フィールド上に表側守備表示で存在するこのカードは、1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。


○「さらに、《ビッグ・ホエール》の効果により、手札からレベル4以下の水属性モンスターを特殊召喚する!!来い、《ドリル・バーニカル》!!!」


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《ドリル・バーニカル》
☆3/水属性/水族/ATK 300/DEF 0
このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。このカードが直接攻撃によって相手ライフに戦闘ダメージを与える度に、このカードの攻撃力は1000ポイントアップする。



○「そして魔法カード、《スリー・スライス》を発動!!このカードは、レベル9の《ビッグ・ホエール》を墓地に送り、そのレベルを3で割ったレベルの水属性モンスター3体をデッキから特殊召喚する!!!」


《スリー・スライス》
通常魔法
自分フィールド上に存在するレベル12、9、6のいずれかの魚族モンスター1体をリリースして発動する。リリースしたモンスターのレベルを3で割ったレベル4、3、2の水属性モンスター3体を自分のデッキから特殊召喚する。



○「来い!3体の《スターフィッシュ》!!!」



《スターフィッシュ》
☆3/水属性/水族/ATK 300/DEF 300
1ターンに1度、このカードのレベルを1つ上げるかまたは下げる事ができる。また、自分フィールド上にこのカード以外の「スターフィッシュ」が存在する場合、その枚数分だけこのカードの効果の使用回数を増やす事ができる。


遊馬「これってまさか―――――!?」


凌牙「今更驚いてるんじゃねぇ!オレは、レベル3の《スターフィッシュ》2体でオーバーレイ!!!」


「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」


「深き水底から浮上せよ、《潜航母艦エアロ・シャーク》!!!」


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《潜航母艦エアロ・シャーク》
ランク3/水属性/魚族・エクシーズ/ATK1900/DEF1000
レベル3モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動する事ができる。自分の手札の枚数×400ポイントダメージを相手ライフに与える。
(アニメ効果)



凌牙「続いて、レベル3の《ドリル・バーニカル》と《スターフィッシュ》でオーバーレイ!!!」


遊馬「もう一体呼ぶのか!?」


「エクシーズ召喚!!!」


「漆黒の闇より出てし赤き槍、《ブラック・レイ・ランサー》!!!!」


《ブラック・レイ・ランサー》
ランク3/闇属性/獣戦士族・エクシーズ/ATK2100/DEF 600
水属性レベル3モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する事ができる。選択したモンスターの効果をエンドフェイズ時まで無効にする。


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遊馬「そ、そんな……!?モンスターエクシーズが2体!!」


○「いくぞ遊馬、エアロ・シャークの効果発動!!オーバーレイユニットを1つ使い、自分の手札一枚につき、400ポイントのダメージを相手プレイヤーに与える。オレの手札は2枚、よって800ポイントのダメージだ!!」


「“エア・トルピード”!!!」


遊馬「ぐああああ!!?」



遊馬LP4000→3200



○「さらに、《ブラック・レイ・ランサー》の効果発動!!オーバーレイユニットを1つ使い、このターン《ゴゴゴゴーレム》の効果を無効にする!!」


「“パラライズ・ランス”!!!」


遊馬「しまった!!」


凌牙「そうとも、お前の《ゴゴゴゴーレム》は破壊されちまうんだ!!!」


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「“ビッグ・イーター”!!!!」


 《ブラック・レイ・ランサー》によって破壊耐性を失った《ゴゴゴゴーレム》は《潜航母艦エアロ・シャーク》の一撃で粉砕。


遊馬「く――――――!!!」


凌牙「丸裸になったところで、一発かましてやるぜ!《ブラック・レイ・ランサー》、遊馬にダイレクトアタックだ!!」


「“ブラック・スピア”!!!!」



遊馬「ぐああああああああああああああああ!!!!」


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遊馬LP3200→1100



○「とりあえずこのくらいにしといてやる。ターンエンドだ」


 衝撃で激しく吹き飛ぶ遊馬。さらに、ARとは別に本格的に降り出した雨が、二人の決闘を冷たく染めます。


遊馬「く―――あ……。」


凌牙「さぁ!お前のターンだ、呑気に寝てんじゃねぇ!!」


遊馬「オレの……オレのターン、ドロー!」


遊馬「(―――シャークのフィールドにはモンスターエクシーズ2体。でもこっちのフィールドはがら空きだ……。)」


●「オレは手札から《ゴゴゴジャイアント》を召喚!!」


《ゴゴゴジャイアント》
☆4/地属性/岩石族/ATK2000/DEF 0
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「ゴゴゴ」と名のついたモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚できる。その後、このカードは守備表示になる。また、このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。


凌牙「ほう、少しはやる気を出したか……。」


《ゴゴゴジャイアント》は墓地の「ゴゴゴ」を蘇生させる効果がある。墓地には《ゴゴゴゴーレム》がいるから、遊馬のフィールドにはレベル4のモンスターが2体並ぶ事になる。


遊馬「(《ゴゴゴジャイアント》の攻撃力は2000。攻撃力1900のエアロ・シャークを倒せても、攻撃力2100の《ブラック・レイ・ランサー》が倒せねぇ……。)」


●「よし、ここは《ゴゴゴジャイアント》の効果発動!!このモンスターを召喚した時、自分の墓地から《ゴゴゴゴーレム》1体を守備表示で特殊召喚する!!そして、この効果を発動した時、《ゴゴゴジャイアント》は守備表示になる!!」


●「そしてオレは手札から永続魔法《ゴゴゴ護符》を発動!!このカードによって『ゴゴゴ』モンスターは1ターンに1度、バトルで破壊不可能となる!!さらに、『ゴゴゴ』モンスターが2体以上いる時、プレイヤーへの効果ダメージも無効になる!!」


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《ゴゴゴ護符》
永続魔法
自分フィールド上の「ゴゴゴ」と名のついた全てのモンスターは、1ターンに1度、戦闘では破壊されない。自分フィールド上に「ゴゴゴ」と名のついたモンスターが2体以上存在する場合、自分への効果ダメージは0になる。自分フィールド上に「ゴゴゴ」と名のついたモンスターが存在しない場合、このカードを破壊する。


凌牙「く―――――!」

遊馬「シャーク!これでエアロ・シャークの効果“エア・トルピード”は封じたぜ!」


●「オレはこれでターンエンドだ!」


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凌牙「ナメてんのか遊馬?今のお前は臆病の負け犬だ!!」

遊馬「――!?」

凌牙「戦う勇気のねぇ奴に、掴める勝機はねぇ!!」

遊馬「―――――」






アストラル『遊馬、これからワタシ達の前には、これまで以上の強敵が立ち塞がることだろう。遊馬、気づいてくれ。この先、ワタシと君に必要なモノは何なのか……。』



 鍵の中一人想うアストラル。しかし、その想いは同時にシャークも願っている事であり―――――。


凌牙「オレのターン、ドロー!!」

○「オレは手札からレベル5の《パンサー・シャーク》を召喚!!このモンスターは相手のフィールドにモンスターが2体以上いる時、リリース無しで召喚できる!!来い、《パンサー・シャーク》!!!」


《パンサー・シャーク》
☆5/水属性/魚族/ATK1100/DEF2000
相手フィールド上にモンスターが2体以上存在する場合、このカードはリリース無しで召喚できる。


○「そして、《パンサー・シャーク》がフィールドにいる時、手札からコイツを特殊召喚できる!!現れろ、《イーグル・シャーク》!!!」


《イーグル・シャーク》
☆5/水属性/魚族/ATK1000/DEF1800
自分フィールド上に「パンサー・シャーク」が存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。



○「オレはレベル5の《パンサー・シャーク》と《イーグル・シャーク》をオーバーレイ!!」


「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!!」


「海を切り裂け、猛々しい鮫の巣よ!!《シャーク・フォートレス》!!!!」


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《シャーク・フォートレス》
ランク5/闇属性/?族・エクシーズ/ATK2400/DEF1800
水属性レベル5モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動する。自分フィールド上のこのカード以外の「シャーク」と名のついたモンスター1体は、このターン通常の攻撃に加えてもう1度だけ攻撃する事ができる。


遊馬「さ、3体目のモンスターエクシーズ!?」


凌牙「さぁ、これからが本番だ!!」


○「オレは装備魔法《シャーカイズ》を《ブラック・レイ・ランサー》に装備!!これを装備したモンスターは『シャーク』モンスターとして扱い、攻撃力が400ポイントアップする!!」


《シャーカイズ》
装備魔法
装備モンスターは「シャーク」と名のついたモンスターをしても扱う。装備モンスターの攻撃力は400ポイントアップする。


《ブラック・レイ・ランサー》
ATK2100→2500


○「オレはオーバーレイユニットを1つ使って、《ブラック・レイ……》いや、《ブラック・“シャ−ク”・ランサー》の効果発動!!!モンスター1体の効果を無効にする!!これで《ゴゴゴゴーレム》の効果は無効だ!」


遊馬「ぐ――――」


凌牙「遊馬、お前の不抜けた魂を叩き直してやる!!」


○「エアロ・シャーク!!《ゴゴゴジャイアント》を攻撃!!」


「“ビッグ・イーター”!!!!」


●「永続魔法《ゴゴゴ護符》の効果発動!!1ターンに1度、バトルによる破壊を無効にする!!」


○「いくぜ!二発目だ、《ブラック・レイ・ランサー》で《ゴゴゴジャイアント》を攻撃!!」


「“ブラック・スピア”!!!」


 赤き槍の矛先が、岩巨人の胴体を貫く。


○「次は三発目だ!!喰らえ、《シャーク・フォートレス》で《ゴゴゴゴーレム》を攻撃!!!」


●「《ゴゴゴ護符》の効果発動!!」





遊馬「く――――なんとか凌いだぜ」

凌牙「凌いだだと?」

遊馬「――――!?」

凌牙「笑わせるんじゃねぇ!オレの本気はこっからだ!!」



○「《シャーク・フォートレス》の効果発動!!このモンスターはオーバーレイユニットを1つ使い、《シャーク・フォートレス》以外の『シャーク』モンスターの攻撃回数を1回増やす!!オレは、エアロ・シャークを選択。」


凌牙「これでエアロ・シャークはもう一度攻撃ができる!!」


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「“ファング・リローデッド”!!!」


 巨大な砲身に装填される潜航母艦。それはさながら発射台であり、大規模な射出装置であった。


遊馬「うあ―――、ぐ――――!!!」


凌牙「フィールドから『ゴゴゴ』モンスター」がなくなった事で、《ゴゴゴ護符》は破壊。」


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○「もう1ついくぜ!オレは《シャーク・フォートレス》のモンスター効果を発動!!オーバーレイユニットを1つ使い、モンスターをもう一度攻撃させる!!!オレは《ブラック・シャーク・ランサー》を選択!!」


「“ファング・リローデッド”!!!」


○「《ブラック・シャーク・ランサー》で遊馬にダイレクトアタック!!!」


凌牙「これで、終わりだ!!!」


 赤き矛先が今度こそ自分に向けられる。


















 これで――――――――、これで終わりなのか?



 このまま何も出来ずに負けちまうのか―――――――?



 あの時みたいに―――――――。


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 大切なモノも守れずに終わっちまうのか。






 流す涙は雨と共に、抜けていく力は大地に。



 膝をつき、腰を折り、気づけば遊馬は手を着いて地面を見ていた。反れていく想いは徐々にはっきりと頭に呼びかけてくる。もうダメなのかと。



 滴る雨が想いを、記憶を、心を見透かすように全てを洗い受け流す。



 流れる想いをその肌で感じ、ふと、空を見上げた。









 嫌だ。




 オレはもっと先に進みたい。




 そして、アイツと―――――――。



 アストラルと一緒にデュエルしたい!!




 それは忘れていた、失っていたかつての自分。



 なぜだろうか、守られなければいけないものが出来た。失いたくないものがそばにあった。



 だからそれを守るのに必死だった。いつか失う日が来ると恐れた。



 絶対に失うわけにはいかない。例え、この身を、この命を費やしても、その価値はあると思った。



 だけど、その使命にも似た何かを貫くには、自分は無力で未熟だった。



 それが正体。心の弱さ。



 自分はただ失いたくないだけ。守らなきゃいけなかった。



 だけど、自分一人ではどうする事もできない。いくら責めても答えは出ない。



 ある意味では、既に失っていたのだ。



絆?友だち?カード?



 一番大事なココロのマスターピース。近づいて手を伸ばした。揺らいだ魂のドライヴ。全ては折れないこのハートのために―――――――――。





 オレは、オレはもっと――――――。


















 “アストラルと一緒に戦っていきてぇんだよ!!!!!”



『遊馬その言葉を待っていた。』




遊馬「アス……トラル……」




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アストラル『ワタシが君を助けるのでも、君がワタシを守るのでもない。ワタシと君は共に戦っていくのだ―――――――』


『遊馬、《ガガガガードナー》だ!』


遊馬「――――!そうか」


●「オレは手札から《ガガガガードナー》を特殊召喚!!」


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《ガガガガードナー》
☆4/光属性/戦士族/ATK1500/DEF2000
相手モンスターの直接攻撃宣言時、手札のこのカードを攻撃表示で特殊召喚する事ができる。また、このカードが相手モンスターと戦闘を行った時、手札を1枚捨てる事でこのカードの戦闘による破壊を無効にする事ができる。
(※アニメ効果)


アストラル『《ガガガガードナー》はダイレクトアタックを受けた時、攻撃表示で特殊召喚できる!!』


●「さらに手札を1枚捨てる事で、バトルでのこのモンスターの破壊を無効にする!!」



凌牙「例えモンスターの破壊を免れても、ダメージは受けてもらうぜ!!」


遊馬「ぐ――――ああああああああああああ!!!!」


遊馬LP1100→100


○「オレはこれでターンエンドだ」


アストラル『遊馬、立て!』


遊馬「あぁ、何度でも立ち上がってやるさ!―――共に戦う仲間と、未来を切り開くためにな!!」


アストラル『遊馬――――。』


凌牙「ふ。」



遊馬「オレのターン、ドロー!」


アストラル『遊馬、勝利の方程式は完成したぞ!』


●「おう!オレは手札から《ガンバラナイト》を召喚!!」


《ガンバラナイト》
☆4/光属性/戦士族/ATK 0/DEF1800
フィールド上に表側攻撃表示で存在するこのカードが攻撃対象に選択された時、このカードの表示形式を守備表示にする事ができる。


遊馬「オレはレベル4の《ガガガガードナー》と《ガンバラナイト》でオーバーレイ!!!」


「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!!」



「光纏いて現れろ!!闇を切り裂く眩き王者!!《H−C エクスカリバー》!!!!」


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《H−C エクスカリバー》
ランク4/地属性/戦士族・エクシーズ/ATK2000/DEF2000
戦士族レベル4モンスター×2
自分のライフポイントが500ポイントより高い場合、このカードは攻撃する事ができない。1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を全て取り除いて発動できる。このカードの攻撃力は、バトルフェイズ終了時まで元々の攻撃力の倍になる。
(アニメ効果)


凌牙「来やがったな……」


●「オレは手札から、装備魔法《最強の盾》を発動!!このカードを装備した戦士族モンスターは、攻撃表示の時守備力を攻撃力に加える!!!」


《最強の盾》
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターがフィールド上に攻撃表示で存在する場合、その攻撃力は守備力分アップする。装備モンスターがフィールド上に守備表示で存在する場合、その守備力は攻撃力分アップする。



遊馬「エクスカリバーの守備力は2000、よって攻撃力は4000だ!!!」





《H−C エクスカリバー》
ATK2000→4000



凌牙「攻撃力4000――――、だがそれじゃあオレのライフは切り崩せねぇぜ?」


●「さらにオレは、エクスカリバーの効果発動!!オーバーレイユニットを全て使うことで、バトルの間攻撃力を2倍にする!!!!」


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《H−C エクスカリバー》
ATK4000→8000



アストラル『いけ!!!遊馬!!!』


 瞬く光は黄金の輝き。約束された勝利へと導く希望の光。



遊馬「かっとビングだあああああああああ!!!!オレえええええ!!!」


●「エクスカリバーで、《シャーク・フォートレス》を攻撃!!!」



「“必殺の霹靂(へきれき)”!!!!!!」



 眩い閃光の一撃と共に沈む砲艦。2400の攻撃力を通ったダメージは実に5600。


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凌牙「――――――――――――」


 一撃必殺の敗北はしかし、シャーク自身納得した顔で、全てを受け止めた。


シャークLP4000→0


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凌牙「(やればできるじゃねぇか……。)」

















遊馬「シャーク!!大丈夫か、シャーク!!」


 駆け寄る遊馬が手を差し出す前に、シャークは起き上がって背中を向けた。なんとなく、遊馬の顔が見れなかった。


アストラル『シャーク、遊馬が立ち直ったのは君のおかげだ。君にはワタシから礼を言おう。ありがとう』


凌牙「何言ってんだ?お前に礼を言われる筋合いはねぇ。」


アストラル『いや、君はこのデュエル、最初からそのつもりで……。』


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凌牙「バカ野郎。そんなんじゃねぇ……。」


 変に見透かされているような気分にそわそわしながら、シャークは自分に注がれていた一番苦手な視線に気づいた。


遊馬「シャ……シャーク!!お前ってやつはぁ〜〜〜!!」


凌牙「な、何勝手に感動してんだよっ!!そういうところがウゼェんだよ!!!」


遊馬「だ、だってよぉ〜〜〜〜!!!」








アストラル『観察結果その22。人間は時折、自分の気持ちを素直に表さない事がある。』



遊馬「やっぱお前ってイイヤツだったんだなぁ〜〜〜〜!!」

凌牙「てめぇがいつまでもウジウジしてっからだろうが!!」

遊馬「うぉ〜〜〜シャークぅぅぅ」

凌牙「っだぁ!!離れろてめぇ!!」






 気づけば空は晴れ、穏やかに雲が流れていた。


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 浮かぶ雲の下。遠くのビルの屋上で事の結末を見ていた青年は、満足な顔を一瞬見せ、翼を広げて街の中心へ飛び去っていった。



アストラル『それはともかく、仲間とはイイものだ』


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新たな策略に燃えるギラグ、そしてついに遊馬はアリトとギラグの正体を知ってしまう。


 いつの間にか零まで洗脳され、魂と魂のぶつかり合う怒濤の展開に。



次回「疾風迅雷のカウンターバトル!決意の闘士アリト」


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