歌モチーフ

□鳥の夢/小野大輔
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 起きたら、午前4時だった。
 ……また、彼女が嫌な夢でも見たのだろうか。
 仕方がないことだとはいえ、僕はキャラ的にも学校で眠れないのだから、文句も言いたくなる。
 規模が小さいものでも駆り出されるこっちの身にもなってもらいたい。
 ぶつぶつ言いながら閉鎖空間に入り、鈍色の空を見上げる。
 青く輝く巨人を倒して天上にひびが入ると、足元に枯れた花が見えた。
 薄いピンク色をした、小さな花。
 ここには閉鎖空間意外の用事でも何度も来ているはずなのに、こんな風に枯れる前に気づけなかったのはなぜだろう。
 その前に見つけられていたら、こんなに胸は痛まなかっただろうに。


 自分の中にある穢れた思いを必死に出さないようにしてきた。
 いらないものだと信じて、もがいて、掻き分けてきた。
 ただ僕は神に従うしかない存在なのだと納得したはずなのに、気がつくと彼のことを考えてしまう。
 ……僕は、どうしたらいいのだろうか。


 あの灰色の空間で、僕は彼と向かい合っていた。
 ただ一つの光源である≪神人≫が校舎を破壊している音がする。
 僕も彼も制服を着ていて、彼の真剣な瞳が僕を見据え、何かを言っていた。
 しかし僕には何も聞こえない。
 世界が崩れゆく音ははっきり聞こえるのに、彼の言葉だけは全く耳に入らなかった。
 やがて彼が僕の肩をつかみ、顔が近づく。
 唇に柔らかいものが触れた、と思った瞬間に世界が光に包まれる感覚がした。


 目が覚めた。
 ……ということはあれは夢か。どこからだろう。
 彼と閉鎖空間にいたところから?
 それとも花を見つけたところから?
 3年前からだったらよかったのに。
 それが無理なら、彼にこんな気持ちを抱くことが夢ならばよかったのに。
 ああ、言ってしまいたい。
 そうして僕からこの思いが消えてしまえばいいのに。
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