短・中編

□He must have told me a lie.
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「だいじょうぶですよ、僕は死んだりなんかしません」
 嘘だ、と思った。
 なぜそう思ったのかは解らないが、それが嘘であることだけははっきりと解った。
 だから俺はこの時指摘するべきだったのかもしれない。
 しかし、古泉は俺がそれを解っていると知りながらも嘘を吐いているように思えた。
 そして俺がそれを口に出したなら、困ったような笑顔でこう言うのだろう。
「僕のことが信じられませんか?」
 と。
 口調は咎めるようなのに、どうせ心の中では信じさせられなくてごめんなさいとでも謝るのだ。
 俺はそんな古泉なんて見たくない。
 だから俺は今日も疑っていないふりをする。
「そうか、がんばれよ」
 できる限り軽い調子で肩を叩き、何も見ていないふりをする。
 完璧なまでに取り繕ったつもりであろう表情も、その下に垣間見える素顔も、俺自身の良心の痛みも。
 こうして、俺たちは嘘を重ねていくのだろう。
 いつか自分の心にさえ嘘が吐ける日を待ち望みながら。



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